図書館協議会関連 会報掲載報記事



会報185号掲載記事

試行によりさまざまな問題が浮き彫りになりました
―平成29年度第1回図書館協議会傍聴報告―


8月3日に行われた図書館協議会を傍聴したので、その報告をします。
傍聴者は10名でした。紙幅の関係ですべての協議内容を記すことはできません。議会報告、平成29年度の予算、第3次子ども読書推進計画、図書館振興基金による資料購入などの議題については割愛します。 図書館のホームページに詳細な議事録と配布資料がアップされていますので、ご参照ください。

ここでは6月から行われていた玉縄図書館での職員を3名から1名にし代わりに専門嘱託員2名を充て、開館時間を短縮して全日午後5時閉館にするという試行に関する図書館からの中間報告とそれを受けての議論に絞って報告します。
図書館からの報告を要約すると、①正規職員より勤務日数・時間が少ない専門嘱託員に代わったことで勤務時間の総数が減少した、 ②そのことにより判断を伴う業務(予約処理、資料管理、業務分析など)に遅れが生じ、マニュアル整備、研修、業務の見直し・調整などのための時間が取れない、 ③専門嘱託員の出勤時間と図書館の開館時間が同じ午前9時のため、突発的な欠勤が生じたときの対応に不安がある、④夜間開館をやらないことに利用者からは従来通り木曜・金曜は午後7時まで開館してほしいという声が多く寄せられた、などです。
この報告の前に、館長から試行にあたって利用者にアンケートを行っているが、6月と7月でアンケートの趣旨説明と項目を変えた、6月では「非常勤嘱託員を中心とした運営体制に変更する」ためと書いたが、アンケートに内部事情を表示するのはそぐわないので削除した、 「サービスが限定されても従来のままがよい」という回答例の表現も適切でないと判断して変えたという説明がありました(添付資料①参照)。
前回の図書館協議会で運営体制の変更については何らかの表現で市民に問うべきだという方向でまとまったはずですが、委員からは何の意見も出ませんでした。
「サービスが限定されても」という表現も適切とは思えませんが、途中で内容を変えてしまったらアンケートの有効性に大きな疑問符がつくのではないでしょうか。
試行の報告について委員から「専門嘱託員は職員の代わりにはならないと感じる、この体制での実施はきびしいのではないか」「突発的欠勤が出たときの対応はどうするのか」「利用者のアンケートだけでなく働く側の声も聞くべきではないか」などの意見が出ました。
これにたいして図書館からは「試行は8月末まで行われるので、終了してから最終的な判断をしたい。 突発的欠勤が出ると開館してからの対応になるのでぎりぎりの人員体制では市民サービスに支障が出てしまう。 働く側の声を聴取するというのはできていないが、今後行っていきたい」などの回答がありました。
つづいて館長から、次回の図書館協議会に参考人として専門家を1名招致して試行結果についての意見を聞きたいという提案がありました。
答申の付帯意見にあった「第三者委員会の設置」に代わるものとして考えられており、試行結果だけでなく図書館の今後の方向性についても意見を聞きたいとしています。 委員からは専門家にも意見の違いがあるから二人くらい呼んだらという意見が出ましたが、2名以上呼ぶ考えはないとあっさり否定され提案通りに決定されました。
試行の結果がどういうふうにまとめられて参考人の意見とともに次回の図書館協議会で提示されるのかわかりませんが、館長は参考人の意見の聴取だけでなく図書館協議会としての試行に関する最終判断を下し、さらに図書館のこれからの方向性までも協議して決めてほしいと、相変わらず強引な協議会運営をしようとしています。
常識的に考えてそれは不可能と思われますが、図書館協議会がどのような判断をするのか注目されます。


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会報183号掲載記事

図書館協議会の存在意義が問われています―図書館協議会傍聴記―


去る 3月 23日に行われた平成 28年度第 4回図書館協議会を傍聴しましたので報告します。 傍聴 者は 5名です。
今回の図書館協議会でいちばん議論になったの は来年度の重点事業の中の「地域状況に沿った利 用しやすい開館日、開館時間の試行」についてでした。 具体的には、大船図書館の木・金曜日の開 館時間を 1 時間延長し午後 8 時閉館にし、逆に玉 縄図書館は夜間開館をせず全ての曜日で午後 5 時 閉館とする、また開館日については蔵書点検によ る休館日を短縮するというものです。 これについて一人の委員から、前回の図書館協 議会では開館時間の変更は大船図書館しか挙げら れていなかった、また玉縄図書館について非常勤 嘱託員中心の運営を試行するとしていたが、これ については重点事業に書かれていない、これはど ういうことかという質問が出ました これに対して館長は、入館者の調査をしたら玉 縄図書館の夜間利用者が少なかったのでこのよう にした、非常勤嘱託員中心の運営については事業 ではないので載せなかったと答えました。 他の委員からも運営体制の試行について「利用 者は正規と嘱託の区別はしていないと思うのでそ れを明記するとかえって混乱を招く」「人員体制の 変更はサービスとは別のことなので重点事業とは いえない」 「嘱託中心でもきちんとサービスできる ことをむしろアピールすべきである」「非正規雇用 の問題は大きな話題になっているし調査・検証が必要と思うので何らかの形で入れたほうがいい」 などの意見が出て賛否が分かれました。 そして議 論の末、重点事業に入れておけば年度末にその成 果が示され結果的に検証されることになるという 理由で入れることになったのですが、それをどう 表現するかなかなか決まらず、結局館長の提案で、 項目名の最後に「検証」という言葉を足し、内容として「開館時間変更」と「特別整理期間の短縮」 に加えて「専門嘱託員の配置」を入れることになりました。 最終的にどういう表現で広報されるかわかりませんが、運営体制の変更についてもきちんと説明されるべきと思います。
前回の図書館協議会では「決裁中」を理由に試 行の検討作業部会の詳細は明らかにされず、それ から一か月以上もたっていて決裁済みのはずなの に今回の図書館協議会でも報告事項になっていません。 そして新年度の重点事業の説明の中で突然 玉縄図書館で夜間開館廃止の試行を行うとしています。 試行期間についての説明もありませんでし た。何のための図書館協議会なのでしょうか。 不可解と言わざるを得ません。
また、試行をめぐる議論のなかで、専門嘱託員 の配置はサービス拡大の一つだと述べる委員がい て、図書館側の説明のなかでも同趣旨の発言があ り、驚きを禁じえませんでした。 同席していた地 域館の館長が、玉縄図書館での試行は職員 2 人を 引き上げ、かわりに月 16 日しか勤務しない専門嘱 託員を 2 人配置するというもので、それでサービ ス低下にならないかどうかの試行なのだとわざわざ説明しなければならないという事態をどう理解したらいいのでしょうか。 試行の結果については図書館協議会に報告する試行の結果については図書館協議会に報告する ので検証をお願いすると館長は述べましたが、ど れほどの検証ができるのか不安を覚えます。 そも そも答申の付帯意見の中で第三者委員会の設置を図書館協議会の中で確認しているはずなのに、そ のことにふれる意見はありませんでした。
以上のほかにも、報告すべき事項はありますが、 紙幅の関係で割愛せざるを得ません。 図書館のホ ームページの図書館協議会議事録を参照してください(執筆時点では未だアップされていませんが)。


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会報182号掲載記事

平成28年度第3回図書館協議会傍聴記



2月13日に行われた第3回図書館協議会を傍聴しましたので報告します。
これまでの協議会委員の任期は昨年12月で終り、今回の協議会の冒頭で新委員の任命式が行われました。 5人の委員のうち鍛冶委員と杉山委員は再任となり、新たに高村委員(第二小学校校長)、梨本委員(鎌倉女子大児童学科准教授)、中村委員(公募委員)の3名が加わりました。
この任命式には教育長、教育部長が出席し、二人とも挨拶の中で「専門的な立場から意見をいただきたい」と述べましたが(この時点で7名いた傍聴者はまだ入場できず、この部分は図書館のホームページにアップされた図書館協議会議事録による)、5人の委員のうち図書館の専門家(研究者あるいは実務経験者)は一人もいないという委員構成になっており、教育委員会トップ二人の言葉がむなしく聞こえます。 任命権者である教育委員会の見識が問われるところです。
つづいて、互選により協議会委員長には前期に引き続き鍛冶委員が、委員長代理には梨本委員が選任されました。 次に報告事項として、議会関連の報告がありました。前号の会報での議会報告と重複しますので内容は省略しますが、TOTOMOから陳情があって採択されたと報告しながら陳情書を資料として提出せず、委員からその内容を知りたいという質問が出てあわてて配布するという場面がありました。 図書館協議会を軽視する姿勢が図らずも出てしまったということでしょうか。

この議会報告にたいして、地域館が非常勤嘱託中心の運営になったときの正規職員は専任司書なのかという質問が出ましたが、これにたいして館長は地域館には専任司書が「まだいるので」(!)そうなるが「先のことはわからない」と答えました。 地域館の行く末にますます不安を覚えるような回答です。

次に、横浜市の図書館と相互利用協定が2月20日に締結され、3月1日から鎌倉市民も18館ある横浜市の各図書館を利用できるようになる(ただし予約は不可)という報告がありました。 最後に、これまで9回の会議が行われた「嘱託員業務及び開館時間検討作業部会」の進捗状況について報告がありました。 その検討内容は、地域館の非常勤化に向けて新たに設けられた専門業務嘱託員の勤務条件、来年度に玉縄図書館で行われる試行時の運営体制、大船図書館で行われる開館時間延長の試行内容などです。
委員からは、昇給やキャリアアップが望めずモチベーションを保つことが難しい非常勤嘱託員を増やすことに問題はないのか、新たに専門嘱託員という雇用形態をつくり正規職員・専門嘱託員・業務嘱託員・臨時職員が一つの職場に混在するなかで勤務シフトを組み維持していくのは大変なことではないかなど、複雑な雇用形態を危惧する意見や疑問が出されました。
専門嘱託員の職務内容についても要綱を見ると正規職員並みの仕事が列挙されていて、委員からは「過剰な労働」にならぬよう「気持ちよく人間らしく」働ける勤務体系の構築を望む意見も出ていました。 来年度に玉縄図書館で行われる試行については、試行した結果をチェックする項目はできているのかという委員からの質問にたいして館長は「これから作業部会で考える」としか答えず、試行の開始日、期間については「決裁中」という理由にならない理由で明らかにしませんでした。 市政の透明化が叫ばれ、情報の拠点としての役割をもつ図書館の館長が情報を遮断するとは深刻な事態と言わざるを得ません。


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会報179号掲載記事

図書館協議会傍聴を続けて~行政文書公開請求を行なってみました~



図書館協議会の答申はどのように決まったのか?図書館内部の話し合いの過程は?また、個別確認された答申最終案の詰めはどのようなものだったのか?  7月28日に行われた注目の図書館協議会議事録は10月10日現在図書館HPにアップされておらず、未だ決定過程が不明瞭です。傍聴しても見えてこない、あるいは傍聴することもできなかったやりとりを確認したいと考え、9月1日、総務課市政情報担当(行政資料コーナー)を通して行政文書公開をお願いしました。請求内容は、次の通りです。 「鎌倉市図書館の運営について(答申)案」の作成にかかる館長と図書館協議会委員、他課を含む職員の話し合い(やりとり)の内容及び日時がわかる文書(公開された図書館協議会資料を除く)  この手続きでは、原則2週間以内に請求した文書が公開されますが、9月15日、次の4種類の行政文書を受け取りました。 ①平成27年10月28日の職員会議(鎌倉市図書館の運営に関する意見交換会)の議事録 ②平成28年2月17日と29日の館長と職員による自由討議のメモ記録 ③平成28年5月18日に行われた図書館の運営にかかる職員説明会(館長から平成28年3月25日の第4回図書館協議会への答申内容等説明)のメモ記録 ④答申案に関しての(図書館協議会)委員とのやり取りのメモ記録(平成28年5月31日各委員あて答申案の送付後)  其々の詳細は当会HPに掲載されていますのでご覧ください。ここでは読後の感想を記します。 ①について  答申案について話し合われた職員会議録が平成27年10月28日分のみというのは不思議です。これ以降の職員会議では答申案について話し合われていなかったということでしょうか? ②について  2月17日、29日の自由討議では、図書館の業務 を一つずつ洗い出し、より効率的に運営するために は、機能を中央館に集約させるよりも地域館に分散・拡充するほうが効果的ではないか、とも話し合われています。市役所移転が模索されている昨今、どの地域に中央館が設置されるかも未定でしょう。公共施設再編を進めていくのであれば、尚一層、今後の鎌倉図書館の在り方をどうするのか、持続可能かつ鎌倉ならではの図書館ビジョンを再構築することが必要ではないでしょうか? ③について  3月25日の図書館協議会へ示された答申内容について、1か月以上もすぎてから職員に事後説明があったことに驚きます。また、「職員からの意見は反映されるのか?」「職員が現状の案に納得していないという意見表示はできるのか?」との職員からの質問に対して、館長は、「今の段階では難しいと思われる」と答えています。それでは、いつの段階であれば職員の意見が反映されたのでしょうか?内部で十分な意見交換がされたのか?そんな不安が払拭できません。 ④について  この文書を読むと、平成28年5月31日に各委員あてに最終答申案が送付され、6月16日に委員長へ説明、その後各委員への確認作業がされたようです。しかし、誰が、どこで、どのようなやりとりをしたのかを読み取ることはできません。図書館協議会が提出する「答申案」の最後の詰めがこのように傍聴もできないような状況でされた上、お一人の委員への最終確認は行われないままだった事実も9月議会のやり取りの中で明らかになりました。  以上の公開文書を読み、もっと詳細な過程を知りたいと考え、9月28日付で、再び次の行政文書公開請求書を出しました。 「地域図書館の非常勤嘱託化を進めることに関して中央図書館が起案した文書一式」  現在、中央図書館総務担当者が書類を整えてくださっています。公開されたらまたご報告したいと思います。


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会報177号掲載記事

平成27年度第4回図書館協議会傍聴記



平成28年3月25日に行われた第4回図書館協議会を傍聴しましたので報告します。

まず、報告事項で、2月議会での質疑について、次のように報告されました。歴史的公文書の保存・管理や行政が発行した刊行物の収集、鎌倉の近代史資料について複数の議員から質問があり、これに対して市長、教育長から、現在試行の段階にある歴史的公文書の一元管理ならびに選別基準の策定、選別のための人員体制の整備などが課題になっている、行政刊行物については庁内の各部署に図書館に知らせるよう周知し図書館側からも働きかけて収集に努めている、近代史資料室で収集・保存している資料については展示会を開催したり、デジタル化してホームページに公開しているが、今後は市民が直接利用できる体制を整備していきたい、図書館のアーカイブ機能向上のために図書館の自由宣言を大切にして貴重な資料が廃棄されることのないようにしているなどの回答があった。

図書館の運営体制の見直しが検討されているが、地域館に正規職員の配置をやめるというのは好ましくないと思うがという質問に対して、市長は図書館に限らず公共施設の運営については一から見直し検討することが必要と回答した。
歴史的公文書に関連して、その収集・整理に当たる専門嘱託員(通常の嘱託員より報酬が高い)が新年度から1名増員されるということでした。そのほか、郷土資料展(鈴木正一郎写真展)の入場者数が2518名だったこと、大東建託から絵本の寄贈があったこと、学校支援充実のため新年度に搬送費が予算化されたこと、横浜市の図書館も利用できるよう相互利用協定を横浜市と締結する予定であること(秋頃か)、マイナンバー導入に関連して図書館システムを本庁のシステムから切り離す予定であることなどが報告されました。

次に、協議事項の地域館の運営体制を変更するという諮問事項について議論されました。
最初に館長からA.B.C案というかたちで、3つの具体案が例示されました。A案は4つの地域館すべて嘱託員のみで運営する案、B案は各館に正規職員1名だけ残し、あとは嘱託員で運営する案、C案は大船図書館のみ現行体制とし、ほかの3館はB案と同じという案です。
これに対して委員からは、この問題について職員間で話し合いを持ったと聞いている、その内容をまず聞きたいという意見が出て、職員から次のような報告がありました。
正規職員が削減されると安全管理面で不安がある、職員でもレファレンスや児童サービスなどの業務は習得するには数年はかかる、嘱託員への短期の研修で補えるものではない、嘱託中心の運営になると業務の限定・標準化をせざるを得ない、同じ地域館でもそれぞれ特徴がありマニュアル化したサービスでは対応できない、というものでした。

委員長から、職員があげた以上の問題点を踏まえて検討したいと議論の方向性が示され、いろいろな意見が出ましたが、内容を深めるような議論にはなりませんでした。
最終的に、館長から3つの案のうちどれがいいか伺いたいと言われると、3つの案の中ではC案がいいということで各委員の意見がまとまり、これを踏まえて館長が答申案を作り、事前に委員に送って意見をもらったうえで案をまとめ、次回の協議会に諮るということになりました。
諮問した館長が答申案も書くというのは奇妙なことであるし、各委員には3つの案にとらわれない議論を期待していましたが、残念な結果になりました。


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会報176号掲載記事

平成27年度第3回図書館協議会傍聴記①
 ー図書館協議会を傍聴して思ったことー


1月27日開催の図書館協議会を傍聴しました。 時間の大半は協議会に市から諮問された鎌倉市地域図書館の運営形態の変更についての協議会委員5名の意見陳述と図書館側との質疑応答に費やされました。

現在4つの地域館は各々3名の正規と6名の非常勤嘱託員で運営されていますがこの運営形態を、A案では4つの地域館とも非常勤嘱託員のみで運営する、 B案では4つの地域館とも正規職員1名を残しあとは非常勤嘱託員で運営する、 C案では腰越・深沢・玉縄の3館は正規職員1名と非常勤嘱託員の体制にし、大船館は現状の体制にするとの3案が図書館側から提示されていました。 協議会では各案を審議せず、図書館全般についてのいろいろな観点から各自の意見と図書館側との質疑応答がなされ、最終的な協議会側からの結論は出さず次回に継続審議となりました。

傍聴をして個人的に感じたことは各委員の立場上その意見には微妙な温度差があり、結論を早く出したいという含みをその言外の発言に感じる委員も居られたようにも思いましたが、 本件のような鎌倉市図書館の将来を左右すると思われる案件に対しては拙速を避け慎重で充分な協議が必要と思いますから継続審議になったことは良かったと思います。 地域館人員削減の是否の決定とその理由と内容はその諮問を受けた協議会の答申の内容次第で大きく左右されると思いますので今後の充分な審議をお願いしたいと思います。

協議会で充分に協議されなかった論点の一つは、市の厳しい財政状況下行財政改革の一環として長期的スパンで図書館に対しても聖域視せず経費削減のため業務見直しを図り人件費を削減したいと言う趣旨が本件の背景にあることは協議会での図書館長の発言から明確に感じ取れました。 だとすればただでさえ図書資料費予算が増えない上に人員削減で図書館の弱体化は更に進みます。
地域館の正規職員の削減はそれに見合う人数の正規職員や非常勤嘱託員の削減を目指しているのは容易に想像されます。 図書館側の提出された資料では、中央館の拠点館を充実させるため、レファレンス機能強化や近代史資料担当の充実や郷土資料の充実を図るため中央館へ正規職員を本案で異動させるとも読めますが、 だとすると人件費の削減は実現できないことになります、この矛盾は今回の協議会では指摘されませんでした。 それとも正規職員を中央館へシフトすることで中央館の非正規職員の削減を図ると言うことなのでしょうか。

更に傍聴して感じたことは、本件提案事項に鑑み委員の間から鎌倉図書館のあるべき姿やその理念についての言及の少なかったことです。 上記レファレンス機能や近代史資料室の充実や郷土資料の充実と言う図書館側のスタンスは鎌倉市の図書館のあるべき姿を反映しており評価すべきですが協議会協議ではその評価についての審議はされませんでした。 鎌倉市図書館は鎌倉市の特性である歴史都市且つ歴史的文化財都市として奈良や京都と共にかけがえのない中世歴史の宝庫であるので、そのレファレンスとその資料アーカイブスの収集保存は日本という国の使命(ミッション)です。 その点から鎌倉の図書館が中央館と各地域館が一体の公共図書館として、公共の福祉に役立つミッションと共に、鎌倉と言う市の持つ日本歴史文化の研究と図書資料の収集閲覧研究の専門性をも持つ図書館として更なる発展と充実を願って止みません。 今回の市と図書館のスタンスが上記のようであるならば協議会ではその観点から鎌倉の図書館のあるべき理念を今回の諮問を機会にもっと討議して欲しいと願っています。

 更に4つの地域館は非常に活発に利用されており貸し出し冊数やレファレンス件数も多く、更には深沢館のように学校の授業の手助けをしているところもあります。 そして各地域館の郷土資料も夫々その地域ならではのニーズを持っています。その意味からも各地域館の更なる充実こそ望まれ人員削減は公共図書館として市民のニーズに逆行するものです。 この点こそが今回の諮問の最大にして中心の問題点ですので協議会ではこの点に焦点を絞って今後充分議論いただければと思います。
以上協議会を傍聴しまだ協議されていないと個人的に思った観点を申し述べさせていただきました。


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会報176号掲載記事

平成27年度第3回図書館協議会傍聴記②
 ー平成28年1月27日の図書館協議会を傍聴2回目にて感じたことー


 図書館協議会はどのような人たちで構成されているのだろうか。今回定義されている図書館の運営に対して話合いはどこまでなされているのだろうか。 公共図書館の役割とは何だろう?

図書館の運営は質・物・人的など多岐様々我々市民には見えないものも多く関わり合いながら日々の業務がなされていると思われます。 それを担う職員の方々の業務が直接、間接に市民に反映されていきます。 正規・非常勤嘱託員の業務内容は分担されているでしょうが連携が円滑に行われることによって職員のかた達の仕事に対する意欲や疲労度は異なってくると思われます。 外部からみて正規より非常勤嘱託員のほうが多い職員構成の中、夜間開館や休館日が月1回の勤務態勢で、正規の職員は研修や休みの時間は取れるの?

学校へ行けない子たちが図書館へ居場所を求める理由の一つには見知った顔に出会えるから、目だけで会話ができるからと足が図書館へ向かうのでは?
地域館の非常勤嘱託員ばかりで日々異なった顔の職員に安ど感が得られるの?
館長は職員の声を充分に聴き掌握されているのだろうか?経費節減の大きな声にまず人件費削減、正規職員削減これって公共図書館の役割を果たせるのだろうか? (いやいや先にしていることはあっただろうが・・・)?????の傍聴でした。 


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会報174号掲載記事

平成27年度第2回図書館協議会傍聴記



10月14日に開かれた図書館協議会を傍聴しましたので報告します。
傍聴者は13名(内TOTOMOから8名)と多数でした。『つながる図書館』などの著書がある猪谷千香さんも傍聴者の一人でした。

まず、大きな反響を呼んだ「逃げ場所に図書館も思い出してね」という8月26日の図書館公式ツイッターについて、館長から「10万を超える反響があり、改めて図書館の役割の大きさを感じた」という報告がありました。
委員から「メッセージの発信だけでなく、居場所を求めてきた子どもへのケアが必要ではないか」という意見が出ましたが、「図書館としては子どもから話しかけられるまでは見守る、相談があれば教育センターの案内もしている、館内にいのちとからだの本のコーナーを通年で設けている」ということでした。
その他の報告事項は割愛し、次に協議事項について報告します。

前回の図書館協議会で諮問された地域館の運営の見直しについて、図書館から「鎌倉市図書館の現状」「同規模図書館との比較」「神奈川県内の図書館の運営状況」「他市の事例」などの資料が提示され、その説明を受けて協議に入りました。

委員からは、経済効率優先でやろうとしていないか、選書・レファレンス・危機管理などは職員でないと対応できないのではないか、職員や嘱託員はこの案に納得しているのか、こういう大きなことを2回か3回の協議で決めていいのか、第2次サービス計画で立てた目標がこういう運営変更で実現できるのか、などの意見や疑問が出されました。

これに対して図書館からは、財政事情が厳しく行革プランに沿って人員削減をしていかざるを得ない、直営は維持していきたい、レファレンスなどは嘱託員への研修で対応したい、職員間の合意形成はこれから図りたい、サービス計画に変更はないが人の配置は見直したい、などの回答がありました。

さらに委員からは、地域館の役割は大きい、歩いて行けるところに図書館があることが大事、その図書館で人と資料を結びつけるサービスの質を保つにはやはり職員が必要、学校図書館とのつながりを考えても職員がいたほうがいい、もっと地域の人を巻き込んで課題解決すべき、など地域の図書館の大事さを強調する意見が出ました。
次回は以上の議論を事務局で整理して案をまとめ、それを基に協議をすることになりました。



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会報172号掲載記事

平成27年度第1回図書館協議会傍聴記


7月9日に行われた図書館協議会を傍聴しましたので報告します。
傍聴者は私を含め4人でした。年度が替わり5名中2名の委員の交代がありました。 これまで委員長を務めた鎌倉女子大の田中康正さんから同大学の鍛冶哲郎さん、第一小学校校長の大嶋一成さんから稲村ケ崎小学校校長の越川雅之さんに替わりました。
委員長に鍛冶委員、委員長代理に杉本晴子委員が選ばれました。
報告事項では新年度予算の報告があり、資料費が26,561,000円から24,979,000円に減額されました。 新聞・雑誌、児童書の購入費は減らさないとのことでしたので、減額分はそのまま一般書の購入減となります。 未所蔵本への予約受付件数の枠を広げたのに大丈夫なのでしょうか。

次に、前年度の事業、継続事業、今年度新規事業の説明がありました。 その一部を紹介すると、中央図書館の耐震診断の結果、何らかの耐震工事が必要で、時期・期間は未定だが、閉館することになる、図書館振興基金の活用について知ってもらうため、展示会や基金協力者との交流会を催す、深沢図書館を拠点にして学校支援を強化する、資料搬送は職員対応に限界があり、来年度に向けて委託費を予算要求する、などです。

最後に、「図書館業務の効率化とサービスの向上」のために、図書館の運営について以下のような諮問がなされました。 「中央図書館は拠点館として機能を集約し」「地域館の職員を縮減(非常勤嘱託員を中心にとした体制への移行)」したい、そのために今年度は体制移行に伴う業務内容の検討を行い、来年度は地域館2館を選定、平成29年度に試行および他の2館との比較検討、平成30年度と31年度に残る地域館を1館ずつ移行するというものです。 これに対して委員からは「非常勤で運営できるのか」「公共施設再編との関係は?」「職員はどう考えているのか」「いきなりこういう大きな問題を出されても意見が出しにくい。図書館のほうで問題点など議論の材料を出してほしい」などの意見が出ました。次回以降、本格的な議論に入り、今年度中に答申の予定です。 地域館とはいえ中央館なみの利用実態があり、非常勤に職員並みの仕事量と質、責任が(報酬はそのままで)負わされることになります。 たとえ職員が1名残ったとしても、非常勤だけの時間帯が発生することは避けられません。非常勤への過重負担、緊急時の対応不安、サービス低下と地域間格差、委託化・指定管理者制度導入につながる恐れがあるなど、問題点は山積みです。 TOTOMOとしても緊急な対応が迫られています。 


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