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◆旧鎌倉図書館保存へ!◆8月24日(月)松尾市長が記者発表され、25日(火)付の新聞各紙に関連記事が掲載されました。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ご署名、ご寄付、保存に応援してくださったみなさま、ありがとうございます。 応援してくださったみなさまの気持ちが、松尾市長のご決断へとなったのだと思います。 |
◆旧鎌倉図書館保存ととも基金へのご協力のお願い◆鎌倉の図書館は明治44年、東郷慎十郎氏をはじめとする篤志家の寄附によって創設されました。 大正12年の関東大震災によって全壊しましたが、昭和11年、間島弟彦氏の遺志を継いだ愛子夫人の寄附により図書館は再建され、昭和49年に現在の中央図書館が開設されるまで、長く市民に親しまれてきました。 その後、旧鎌倉図書館の建物は市の教育・福祉関係の施設として使用されてきましたが、鎌倉市はいま、「老朽化」「庁舎拡張」などを理由に取り壊し、プレハブ庁舎に建て替えようとしています。 市民の力で創設され、市民の力で再建された鎌倉の図書館の足跡を伝える旧鎌倉図書館を保存・活用し、近代鎌倉の貴重な文化遺産として次世代に引き継ぐために、再び市民の力が求められています。 「図書館とともだち・鎌倉」はこのたび、「旧鎌倉図書館保存ととも基金」を開設し、保存のための募金活動に本格的に取り組むこととなりました。 つきましては、同基金へのご支援、ご協力を賜りますよう心よりお願い申し上げます。 |
◎振込先
郵便振替 口座番号 00200-0-136979 ◎加入者名 旧鎌倉図書館保存ととも基金 |
◆署名簿を市長に手渡してきました◆ 昨日(3月30日)、午後2時、署名簿を市長に手渡してきました。 書名者数は5384名(内WEB署名数338名)です。 出席者はTOTOMOから6名、市側は市長と経営企画部長の2名でした。 そのほかにメディア関係で鎌倉朝日とタウンニュースの取材がありました。 10分の面会時間でしたので、あまり詳しい話はできませんでした。 最初に、会としては旧図書館を解体せず、保存・活用を願っているが、市としては、この問題について、現時点でどういうふうに考えているかと聞きましたが、明確な答えは返ってきませんでした。 「丁寧な対応をしていきたいと考えているが、具体的にどうするかはまだ決まっていない。説明会、見学会などについても同様である」という答えでした。 では、いつ頃に具体的なことがはっきりするのかという質問に対しても「1年も2年も引き伸ばすことはできないが、まだ時期的な目途はたっていない」という返事でした。 解体を決めた時点では、旧図書館をただの古い木造の建物ととらえていたと思うが、現段階で旧図書館をどう評価しているのかということも聞きました。 「当初の認識とは変化している」と答えたものの、評価の内容には触れませんでした。 さらにこちらから、こどもの家の保護者も解体を決して望んでいないこと、市民・識者・行政が一つのテーブルを囲んで、多様な意見を出しあって、そのなかから方向性を見つけていくような協議の場を設けてほしいということを述べて面会は終了しました。 なお、いったん締め切った後にも署名は集まっており、現在、総計5800名を超える署名が集まっています。 4月22日午後、追加の賛同者名簿を市役所秘書課に届けました。 追加署名は、WEB署名34名 署名用紙692名 合計726名。 前回の提出分を合わせると、最終署名総数は、6,110名です。 ご協力いただいた皆さま、本当にありがとうございました。 これからも応援を宜しくお願い致します。 ☆お礼状☆ ◆活動への協力お願いのちらし◆ |
◆当会の要望が認められ、5月16日、17日、横浜歴史資産調査会「旧鎌倉町図書館」調査委員会によるボランティア調査が実施されました。 調査に関する要望書 5月27日、『中間報告』ができました。同日、鎌倉市役所経営企画部長に面談の上、手渡してきました。 ◆鎌倉市在住のジャーナリスト高木規矩郎氏がご自身のブログで、『旧鎌倉図書館と私』と『ととも』をご紹介くださいました ◆2月1日アピール文採択◆ 緊急シンポジウムの最後に、参加者一同名で、取り壊しの中止と議論の場を設けることを要望するアピール文を採択しました 2014年12月1日 旧町立図書館に関する要望書を提出しました <市長あて> <市議会議長あて> 2014年12月26日 教育総務課から回答書を手交されました 行政文書を公開請求しました 鎌倉市指令行第2号 検討会議録 第5分庁舎新築工事図面 2015年2月1日(日) シンポジウム開催 会場風景はこちら 2015年2月10日 市議会議長に陳情書を提出しました インターネット生中継もあります! 2015年2月13日 複数団体の代表連名で要望書を提出しました 2015年2月26日(木) 総務常任委員会で陳情書が審議され「継続」となりました。 市が決裁した議会への陳情に係る内容説明書類 2015年3月4日 総務常任委員会審査結果を受け、松尾市長宛に要望書を提出しました。 2015年3月7日8日 パタゴニア鎌倉の前で街頭署名をおこないました。 2015年3月23日 公益社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部、 同 保存問題委員会、 同 神奈川地域会 の連名で、鎌倉市長及び鎌倉市教育長宛に<旧町立図書館について、解体計画の即時停止と保存利活用を求める要望書>が提出されました。 2015年3月20日 公益社団法人 横浜歴史資産調査会より松尾市長あてに、要望書「旧町立図書館の保存について」が提出されました。 2015年4月7日 日本図書館文化史研究会より松尾市長あてに、要望書「旧町立図書館の保存について」が提出されました。 2015年5月17日 16日の調査がカナロコに掲載されました。 5月31日 神奈川新聞「ゆとり」のページに 旧鎌倉図書館についての記事が掲載されました。 たくさんの写真入りで、詳しく解説されています。 |
2014年12月4日(木) 旧町立図書館見学を行いました 老朽化しているという2つの施設を見学しました。 最初に旧講堂。ご案内くださるのは学校施設課の職員さん。落下物の危険があるため、全員ヘルメットを着用しての見学でした。 次はいよいよ旧町立図書館。ご案内は管財課と教育センターの職員さんにバトンタッチ。 長らく手つかずだった講堂と違い、今現在も一部が執務室として使われているだけあって、今にも壊れそうな状態ではありません。 2階の端には小さめの畳の部屋がありますが、これは婦人閲覧室として使われていたそうです。 書庫も見せてください、とお願いすると、鍵を探し出して来てくださいました。 2階の閲覧室だったフロアから階段を数段降りたところにドアがひとつ。鍵を開けて扉を開くと上へと昇る階段が現れます!上った先が書庫です。 もちろん資料は残されていませんが、頑丈な作りつけの書架が並び、「鎌倉市図書館備品」というラベルがそのままになっています。 婦人閲覧室だった和室 鎌倉市図書館のラベルが残る書棚 |
第2回見学会(2015年2月10日) 100人もの熱心な参加者があり、多くの感想が寄せられました。 facebookにアップしてくださった方もあります。 この見学会を生かせるよう、知恵を絞っていきます。 引き続きご協力をよろしくお願いします。 ★関連記事ご案内★ 神奈川新聞1月26日 神奈川新聞1月6日 タウンニュース1月30日 鎌倉生活2月10日 タウンニュース2月20日 鎌倉朝日3月1日 高木氏ブログ 神奈川新聞3月31日 タウンニュース4月3日 |
会報176号(2016.3.30)掲載記事 旧鎌倉図書館の保全をめぐる現況報告◎1・31にシンポジウムを開催 1月31日に中央図書館多目的室で「御成遺産の保全と活用を考えるシンポジウム」を御成小「講堂」の保全活用をめざす会との共催で開催しました。 講師は作新学院大学教授で日本図書館文化史研究会の小黒浩司さんと鎌倉の別荘地時代研究会代表の島本千也さんのお二人です。 小黒さんには昨年11月28日のシンポジウムに引き続き講師をお願いしました。 参加者の方から会報に感想を寄せていただいていますので重複しない範囲で概要を報告します。 参加人数は市議、市職員、御成小旧講堂保存活用計画策定委員会委員などを含む52名でした。 まず小黒さんからは「旧鎌倉図書館と御成旧講堂をどう活用するか」と題して、参考になる他市の様々な事例が紹介されました。 鎌倉においても児童の教育環境や地域住民の生活環境に留意しつつ、 文化・教育施設としての活用や観光資源(例えば鎌倉の近代史をめぐる散策路)として活用することが考えられるとし、 他地域の具体例として喫茶店、ギャラリー、貸しスペース、ビジターセンター、漢籍の書庫などの事例が豊富に提示され、 前回のシンポジウムと同様に貴重な情報を得ることができました。 島本さんは「鎌倉の別荘地文化と御成遺産」と題して、近代鎌倉は別荘地・保養地として発展し特色ある文化が形成された、 現存する建築物だけでなく記録・記憶として残るもの、文化人や篤志家の足跡なども含めた近代遺産を大切に引き継ぎ次世代にパスしていかねばならない、 旧講堂・旧図書館など御成の地に残る遺産も別荘地時代の象徴的存在として貴重である、とくに旧図書館は鎌倉の近代史資料館として活用することに大きな意義がある、 その土地の歴史を知らずして土地への愛着は生まれるはずもない、と話されました。 また、「御成遺産」という言葉は今後定着するとよいと思うと付け加えられました。 ◎2・20旧図書館見学会実施 1月のシンポジウムに続き、御成小「講堂」の保全活用をめざす会との共催で2月20日に旧鎌倉図書館見学会を開催しました。 これで5回目の見学会になりますが、スタッフ8名を除いて23名の参加者がありました。 旧図書館保全への市民の関心が依然として高いことがうかがえます。 この見学会についても参加者の方から今号に感想を寄せていただいています。 4月に入ると旧図書館の保全に向けた本格的な調査が行われ、そのあと改修・補強工事に入るので、今回の見学会が最後の機会となりました。 なお、市から委託を請けて調査を行うのは山手総合計画研究所に決まりました。 その代表を務めるのは昨年2月のシンポジウムや7月のチャリティコンサートで講演していただき、5月の旧図書館現況調査では中心を担い報告書をまとめてくださった菅孝能さんです。 心強い限りです。 ◎御成遺産グループの発足、そして募金活動 昨年12月、御成小「講堂」の保全活用をめざす会からの呼びかけで「御成遺産グループ」という集まりが発足しました。 TOTOMOのメンバーも初回から参加しています。建築家、歴史研究者、NPO活動をしている方、IT関係の仕事をしている方、市職員など多彩な人たちが集まっています。 「御成遺産」をキーワードにして様々な分野で活動する人たちが集い知恵を出し合って大きな流れをつくり出せれば旧図書館・旧講堂の保全運動の広がりと前進につながるのではないかと考えます。 発足して間もないグループですが、今年に入って上に述べたシンポジウムや見学会を共催するきっかけとなり、 4月23日には近代建築物の調査を多数手がけ西洋建築史の権威である吉田鋼市氏を招いて講演会を生涯学習センターホールで開催することになりました。詳しくは折り込みのチラシをご覧ください。 このように旧図書館保全のことをより多くの方々に知ってもらう活動は広がりつつありますが、 保全運動のもう一つの柱である募金活動についても、昨年11月に景観重要建造物等保全基金条例が制定され、ふるさと寄附金制度を通じて旧図書館と御成小旧講堂に寄附金の使途を指定して募金できるようになりました。 この仕組みを活用して多くの募金を集めるために旧図書館・旧講堂保全への寄附を呼びかけるパンフレットを作ることを市に要望し、現在関係部署と協議中です。 保全運動の三本目の柱である文化財登録については、今のところ進展はありません。 最後に、雑誌の「OZマガジン」から取材があり、4月12日発売予定の5月号に記事が掲載される予定であることをお知らせします。 |
会報173号(2015.9.30)掲載記事旧鎌倉図書館、保存へ8月24日の定例記者会見で市長は旧鎌倉図書館の建物を保存すると表明しました。 行政は一度決めて走り出したら、その決定に瑕疵ありとひそかに気付いた場合でも変更しないのが通例です。 その意味で、今回の方針転換は画期的なことであり、TOTOMOのこれまでの歩みを振り返っても、2003年に図書館を含む生涯学習部の市長部局への移管を撤回させたことに並ぶ快挙と言っていいのではないでしょうか。 また、多くの歴史的建造物が鎌倉市だけでなく全国各地で次々と消えていく状況にあって、いったん解体が決まった旧鎌倉図書館の保存への方針転換は多くの歴史的建造物に関心を持つ人々に大きな勇気を与えるものだと思います。 ■市長に現況調査の最終報告書を提出 このような方針転換を促す大きな要因の一つが、5月16,17日に行われた専門家による無償での旧鎌倉図書館現況調査だったと考えられます。 同月27日には、旧鎌倉図書館は構造的に堅固に造られていて、しかも健全な状態に保たれているという主旨の中間報告書を市に提出したことは前号の会報で報告したとおりです。 そして7月31日に、多数の写真や図を含む90ページに及ぶ詳細な最終報告書を市長に直接手渡しました。面会時間は15分程度で十分な説明はできませんでしたが、外観の傷みはあるが構造的に安定しており、長期の使用に耐えられること、また登録有形文化財として申請するだけの価値ある建物であることを改めて主張しました。 これに対して市長は、調査結果をよく検討したうえで8月中には今後の方向性を明らかにしたいという慎重な回答に留まりましたが、この調査報告書およびTOTOMOのこれまでの募金活動を評価するようなニュアンスは感じとれました。 最終報告書は増刷してなるべく多くの人の手に渡るようにしたいのですが、頁数が多いため、とりあえず報告書の本編と資料編を分けて印刷し、印刷経費がかなり掛かるので有料で頒布することにしました。ページ数は同じくらいなので両方とも頒価を500円とし、販売収入から経費を除いた分は募金として基金に入れることにしました。入手希望の方はご連絡ください。 ■8月、9月に見学会を開催 昨年12月にTOTOMOの会員向けに、そして今年2月に一般向けに見学会を催しましたが、その後も見学を希望する声が届いているので、市の許可を得て8月22日と9月12日に見学会を実施しました。 それぞれ2回ずつ計4回行った見学会の参加者は、8月の1回目は15人、2回目は16人、9月の1回目は16人、2回目は多くて25人、総計72名でした。 見学方法は、まず館内をTOTOMOのスタッフが説明しながら見て回り、そのあとに7月のチャリティコンサートで菅孝能さんが講演したときの音声を流しながらそのときに使われた写真をスクリーンに映して見てもらうというかたちをとりました。 9月の見学会では参加者が多いので、1回ごとの参加者を2グループに分けて館内を回り、見学の冒頭に5月に放送されたTBSの番組「噂の東京マガジン」の旧鎌倉図書館を取材した部分をパソコンで見てもらい、最後のスクリーンを使っての説明はスタッフが行いました。 創建当時の姿をとどめている書庫の3層部分や畳敷きの明るく心地良い空間を醸し出している婦人読書室を見て参加者は一様に感嘆の声を発していました。また敷地内に立つ間島弟彦氏を顕彰する旌徳碑の巨大さに驚き、碑文や上部に刻まれた肖像のレリーフを感慨深げに見ていました。 ■市長、旧図書館の保存活用を表明 冒頭で述べたように、8月24日の定例記者会見で、市長は旧鎌倉図書館の解体・撤去方針を撤回し、保存活用に向けて旧鎌倉図書館の解体工事費分の減額(1326万円減)予算、耐震補強設計等業務委託料(3716万円)予算、そして旧鎌倉図書館を含めた歴史的建造物の保存費用を募る「景観重要建造物等保全基金」を創設する条例案を9月議会に提出すると表明しました。 ( 添付資料@-1、@-2) 新聞報道によれば、この記者会見で市長は「市民団体が保存のための募金活動にも取り組んでおり、市民と行政の協働による歴史的建造物保存の新たなスタイルにしたい」(毎日新聞)、「市民が保存を求めるだけでなく、積極的に寄付を集めている点を踏まえて判断した。建物の保存は市の魅力アップにもつながる」(読売新聞)と方針変更の理由を語ったとされています。 建築家による現況調査と並んで市の方針転換を促すもう一つの大きな要因はTOTOMOをはじめとする市民の募金活動にあったことがわかります。 前号で触れたようにチャリティコンサートで多額の収益金を得ることができたのも「鎌倉・文化の森」など他団体の協力があってはじめてできたことで、TOTOMOとして今後も募金活動に取り組んでいきますが、一団体の活動には限界があります。基金を創設するなら市は直接市民に広く呼びかけ募金を集める努力をしてほしいと考えます。 ■9月議会に向けてロビー活動 市長の保存方針が現実化するためには先に述べた予算案や基金条例案が議会で承認を得なければなりませんが、補強・補修のための調査・設計について市はどのようなイメージをもって業者に委託しようとしているのか、また基金条例案についても漠然とした規定になっていて運用の具体的な中身が不明です。 そこで、9月に入って市会議員へのロビー活動を行いました。議会中でしたが、4つの会派と2名の無所属議員に面談することができました。そこで訴えたのは以下の4点です。 ・補強・補修工事にあたっては可能な限り創建時の姿を復元して欲しい。耐震工事のために書庫の3層をつぶすようなことは絶対やめてほしい。 ・市に登録有形文化財の申請をしてほしい。申請が認められれば補助金が交付され維持管理費に充てられるし、将来的にもオリジナルに近い姿を維持できる。 ・市民が基金に寄付する際、どの建造物のために使うか指定することも可能な運用基準を設けてほしい。 ・こうした市民の意見、要望が反映されるような機会を設けてほしい。 以上のような点について各常任委員会の審議で市の考え方を確かめ、市民の要望を伝えてほしいとお願いしました。しかし、市議会は別の案件で冒頭の本会議から空転し、現在休会中です。すべての審議は10月20日以降に延期されました。 ■青山学院同窓祭に参加 9月23日に青山学院の同窓祭に参加してきました。 いうまでもなく青山学院は旧鎌倉図書館の生みの親である間島弟彦氏の母校です。キャンパス内には間島氏が図書館として寄贈した建物が今も間島記念館として残されています。しかも国の登録有形文化財となっています。 7月のチャリティコンサートの司会をしてくださった田邊恵美さんより間島弟彦さんつながりで旧鎌倉図書館の募金のPRを青山学院同窓祭でしてはどうかという提案があり、同窓祭の幹事に了承をいただく交渉と当日の案内を卒業生の田邊さんにお願いしました。幸い了承がいただけたので、田邊さんの案内のもとに学長室をはじめ教室、ブース、模擬店などを回り旧鎌倉図書館のことをPRしてきました。 田邊さんの発案で、鎌倉市図書館100周年のポスターと飯野和好さんの絵を拡大したものを肩から掛けてキャンパス内を練り歩き、多くの人から声をかけられ、支援の温かい言葉をいただきました。同窓祭の約束事で募金をいただくことはできませんでしたが、多くの参加者にPR出来たと思います。 間島記念館を見学することができましたし、近くにある青山墓地の間島弟彦氏のお墓参りもして有意義な一日を過ごすことができました。 |
会報172号(2015.7.29)掲載記事TOTOMO主催 旧図書館の保存・活用まで、あと一歩、もうひと押し1.「現況調査・中間報告」を市に提出 前号の会報でお知らせしたように、5月16,17日に、旧図書館の専門家による調査が無償で行われました。 そして早くも10日後には、調査の中心を担った建築家・菅孝能さんの尽力により中間報告書が作成され、それを市に提出しました。 5月27日に提出した「旧鎌倉町立図書館現況調査・中間報告」の概要は以下のとおりです。 ・建物は構造的に頑強に造られ、耐震性は十分に高く、大変健全に維持されている。 ・一方、市による不十分な保守管理から一部に腐朽が見られる。 ・図書館以降の使用目的の変更に沿った度々の改変・増築が建物の価値を損ねている。 ・旧図書館の価値として、市民によるまちづくりの文化遺産としての価値、今小路通りの街並み景観上の価値、入念な架構計画・構造設計が見せる建築技術上の価値の三つがあげられる。 以上のことが豊富な写真や図面を添えて述べられています。 これらの内容を27日の市との面談でより具体的に説明し、旧図書館の保存・活用を強く求めました。 また、保存・活用する場合の経費について議論となり、菅さんより、耐震補強にそれほど経費はかからないこと、傷んだ部分を補修し、改変・増築部分を原形に戻し、仮にこどもの家として活用するとして、概算で1億円くらいではないかと述べられました。 建物の保存価値及び耐久性が専門家により立証され、経費の面でも解体してプレハブ庁舎を建てる場合と変わらないことがわかりましたが、市はこの中間報告の内容をもって庁内の調整に当たりたいという回答にとどまりました。 見学会については申し出があれば管財課で対応したいという回答で、市自らが実施する考えはないことを示しました。 2.5団体連名の要望書再提出 6月に入り、いざかまくらトラストの佐藤江里子副代表より、2月13日に市に提出した要望書と同じかたちで5団体(いざかまくらトラスト、鎌倉の世界遺産と秘宝を訪ねる会、山手総合計画研究所、鎌倉の世界遺産登録を目指す市民の会、TOTOMO)連名の要望書を再提出し、同じ内容で議会にも陳情したい旨の提案がありました。TOTOMOもそれに賛同し、6月9日に要望書と陳情書は市及び議会に提出されました。 内容は、5月の現況調査で旧図書館の建築技術が高く評価されたこと、国の登録文化財に値する建築物であること、御用邸文化を今に伝え歴史的風致として護られるべき場所であること、こどもの家として活用し次世代への情操・文化教育のためのよき環境となることなどが新たな論点として強調されています(添付資料参照)。 6月23日に松尾市長と20分ほど面談する機会を得ることができました。TOTOMOからは黒瀬さんが出席しました。 要望書への市長の回答は、文化財的価値を持つ建物であるなら保存していきたいが、こどもの家として使用するという前提があるので、安全面の確保や費用面の検討をしなくてはならない、それが明確になっていない現段階では保存するという約束まではできないというものでした。 3.議会への陳情 9日に提出した陳情書は10日、総務常任委員会に付託されることになり、6月25日の同委員会で審議されました。 提出者代表の内海恒雄さんが陳情書の内容に沿って10分間の陳述を行い、原局の陳情に対する回答の後、審議に入りました。 議員からの主な意見は「予算は一度議決すると議会が変更することはできない。あとは市長が判断し決めるしかない」「解体か保存か、大きなテーブルを設けて議論すべき。 それを判断材料に市長が最終決定をすべきだ」「文化財としての価値判断はしていないのか。市民が大切な文化遺産だと言っているのは重く受け止めるべきだ」というものでした。 理事者質疑で市長は「7月中に現況調査の本報告が出る、市民も募金活動をしていると聞いている。 それをもとに判断したい」と答弁し、これに対して委員から「調査も金集めも市民にやらせて、それから考えるというのは本末転倒だ。7月中に決断すべき」と追及されましたが、「本報告が出てから判断したい」と回答し、市長は期限については明言しませんでした。 議案の採決に入り、「議決不要」が2名、「継続」が4名で、2月のTOTOMOの陳情に続き、今回も「継続」となりました。 議員が言うように、解体予算執行の可否は議会の手を離れ、一に市長の政治的判断にかかっていると言えます。 そして、上に述べてきたように、旧図書館の保存価値、建築物としての耐久性、解体・建替えと保存・活用のコスト比較など、判断材料のどれをとっても答えは明らかです。 御成小の旧講堂を保存すると決定したのなら、正門をはさんで対をなす旧図書館も保存するという勇気ある決断を要望します。 |
会報171号(2015.5.27)掲載記事旧図書館保存・活用のための活動は、まだまだ続く…
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会報170号(2015.3.25)掲載記事 <旧鎌倉図書館解体ストップのために>@ 緊急シンポジウム報告 2月1日、NPOセンター鎌倉で、緊急シンポジウム「旧図書館の保存・活用を求めて」を開催しました。 準備期間が短いなか、69名もの参加がありました。 会場が手狭で中に入れず資料だけ持ち帰った方もいて、この問題に対する市民の関心の高さを示す盛況ぶりでした。 以下、講師のお話しと参加者からの発言を順を追って紹介します。 ■鎌倉のよき先例に学ぶべき 二人の講師をお招きして30分ずつお話しいただきました。 一人目は建築家でTOTOMOの会員でもある山手総合計画研究所代表の菅孝能さんです。 まず、旧図書館の建物について建築家の視点からその特徴を説明されました。 屋根が瓦葺で縦長の窓、玄関ポーチが室内化され、本の重みを支えるために柱が1間ピッチに立っている。 室内の階段はアールデコ調のシンプルな造り、2階の婦人読書室はオリジナルな形を一番残している。 書庫の3層は天井板がないので屋根裏がキングポストトラスで組まれていることがわかる。 書架も当時の楔で組まれたものが残っていて貴重である。 続いてこの建物の保存価値について次のように述べられました。 一つは、文化遺産的価値があるということ。 国宝館の建設や英勝寺山門の保存に大きく貢献した間島弟彦という篤志家の寄付で建てられた貴重な文化遺産であることに価値がある。 加えて、財政難で今後ますます市民の支えを必要とする自治体運営を考えるとき、鎌倉には民間の篤志家によるまちづくりへの貢献というよき先例があることを忘れてはいけない。 先人の功績に敬意を払うことなく安易に取り壊すことは新たな篤志家の誕生を阻むことになる。 二つ目は、単体としての価値だけでなく、御成小学校の旧講堂、正門と合わせて鎌倉らしい街並みの景観をつくっていることに着目すべきである。 通りを挟んで以前建っていたお屋敷がマンションに建て替えられてしまっている今、ますます貴重な景観をなしていると言ってよい。 最後に今後の活用方法や保存・活用のための改修費用は市民も資金作りに取り組む必要があることなどにも触れられました。 ■今小路を歴史まちづくりの重点地区に 二人目の講師は、鎌倉の世界遺産登録を目指す活動で中心になって尽力された歴史研究家の内海恒雄さんです。 ヨーロッパの歴史ある都市の市庁舎には伝統的な建物が多い。 市民は教会や国王に抗して自治を獲得したシンボルとして市庁舎に誇りをもっている。 ひるがえって鎌倉はどうか、という問いかけから話が始まりました。 強調されたのは、歴史遺産を点ではなく面としてとらえることが必要ということでした。 鎌倉の世界遺産登録の推薦対象として御成の裏山も入れた。 個々の寺社などの遺産は周辺の自然や街並みと一体のものとして存在しているからである。 世界に誇れる古都の風情を残すには、歴史的遺産を点でとらえる古都保存法では限界があった。 2008年の歴史まちづくり法の成立によって、歴史的風致を維持・向上させるまちづくりに取り組むことができるようになり、世界遺産登録の展望が開けてきた。 具体的には重点地区を定め整備計画をつくる必要があるが、私は浄光明寺から寿福寺、六地蔵などを経て海岸に出る通りが重点地区として一番ふさわしいと考えている。 英勝寺の山門があり、八坂大神、巽荒神があり、高野邸、古我邸などの洋館がある。 鎌倉彫発祥の後藤家、刀鍛冶正宗の山村家があり、中世以来の伝統的産業が残る地域でもある。 市役所、御成小あたりは古代の郡衙、中世の御家人の屋敷や職人の住居が地下に眠っている。 また、ここには御用邸があった。諏訪神社の祭礼のとき町民は御用邸の中に入れた。関東大震災では避難場所にもなった。 御用邸こそ鎌倉が誇りうる最大の場所である。 六地蔵のうしろには松尾芭蕉のアンチ徳川幕府を含意する句が刻まれた碑があり、古墳の名残をとどめる和田塚が続く。 古代から近代までを網羅する歴史遺産が面となって存在するこの区域の中心に旧図書館は位置している。 それなのに、庁内検討会議の議事録を読んで驚いた。 間島弟彦のことも知らなければ旧図書館の歴史も知らない、景観のことも考えていない。 行政の会議だけで旧図書館の解体を決めている。市民不在の行政に今こそ市民は声を上げなくてはいけない。 ■過去からの贈与を次世代につなげよう 次に、参加者の発言を一部紹介します。 「鎌倉には先人から贈られたものがたくさん残っている。それが鎌倉の財産であり、魅力となっている。 それらを守り育て、次世代に伝えていかないといけない。間島さんの贈り物である旧図書館も同様で、これを壊したら鎌倉市民は笑われる」 「鎌倉は伝統的に市民自治の精神が強い土地柄である。 戦国時代に鶴岡八幡宮を再建する際、北条氏が資材調達のために周辺の木を切ろうとしたときや、明治に入ってから八幡宮が池をつぶして畑にしようとしたときも、鎌倉のまちの人たちは反対して景観を守ってきた。 今回の問題でも鎌倉のよき伝統を受け継いで市民は声を上げるべきだ」などの意見が出されました。 最後に、旧図書館の取り壊しを中止し、その歴史的・文化的意義について検証の場を設けることを求めるアピール文を参加者一同の名で採択して終了しました。 アンケートに「この町にとって、何が大切なことかを市民の一人として意識を持って考え、暮らしていかなければならないと、心から思わされました。 長い間に築かれた鎌倉の歴史を知り、これからの市民の未来に何を残していく必要があるのか、市民レベルで知り、話し合い、伝え合う場が無くてはならないと思う」などの感想が寄せられています。 参加人数の多さだけでなく、内容も有意義で充実したシンポジウムであったことを物語っていると思います。 |
会報170号(2015.3.25)掲載記事 <旧鎌倉図書館解体ストップのために>A 旧鎌倉図書館見学会報告 旧図書館は御成小学校の正門を入って右手に位置しています。 一般の市民にとって出入り自由な場所ではありませんし、通りからも建物の全体は見えません。 御成小学校に通う生徒と保護者、かつてこの建物の中にあったこどもの家を利用した人などを除けば、その存在すら気づきにくい建物です。 旧図書館の解体を止めるには、言葉で説明するだけでなく実際に見てもらうことが必要かつ有効と考えました。 昨年の12月4日、TOTOMOの会員を対象に見学会を実施し、これは保存・活用すべき建物であると私たちも確信できたからです。 そこで、緊急シンポジウムに引き続き、2月10日の午後に旧鎌倉図書館の見学会を開催しました。 シンポジウム当日に参加を呼びかけ、実施まで10日間しかありませんでしたが、94名の参加がありました。 予想を上回る参加人数のため、当初2回に分けて実施する予定を3回にし、1回の参加者も2班に分けて見学していただきました。 参加者は「外観も屋内もデザインが素敵」「思ったよりしっかりとした造りだ」「3層構造の書庫やホゾ組みの書架が興味深い」 「畳敷きの婦人読書室が印象的」などの感想を口々に語られていました。 見学と並行して、NPOセンター鎌倉ではシンポジウムの映像をパソコンで流し、関連資料を置き、見学のあとに見ていただきながら見学者同士で交流できるようにしました。 その場に置いた見学ノートにも「初めて旧図書館に入りました。すばらしい、しっかりとした書架があり、ぜひ保存したいと思いました」 「旧図書館の存在を知らなかったので、こういった建物が鎌倉にあることがうれしいです」 「書庫部分を含め、今日はじめてゆっくり見せていただきました。構造は概ね健全で、耐震補強等も難しいことはなく、それほど嵩張らない費用で立派に改修できるだろうと思います」などの感想が寄せられました。 自分の目で見ていただくことで旧図書館の建造物としての価値を実感していただけたと思います。 <旧鎌倉図書館解体ストップのために>B 議会・行政への働きかけ 2月10日、旧図書館見学会を開催した同じ日に、市議会に陳情書を提出しました。 陳情の要旨は、旧図書館の解体については、市民や専門家を交えて旧図書館の歴史的・文化的意義を検証する場を設け、そこでの結論が出るまで執行を一時停止してほしいというものです。 この陳情書の署名欄には、内海恒雄氏、大貫昭彦氏、島本千也氏、菅孝能氏、清田昌弘氏、高柳英磨氏、福澤健次氏、八幡義信氏の8名の方から署名をいただきました。 この場を借りてお礼申し上げます。 この陳情書は2月12日の議会運営委員会で総務常任委員会に付託されることが決まり、2月26日の同委員会で審議されました。 審議の結果、残念ながら陳情は採択されず継続扱いとなりました。もともと解体予算を審議し可決したのが総務常任委員会だったので、採択が容易でないことは予測できました。 陳情書が委員会に付託されると意見陳述の機会が与えられますので、10分という短い時間ですが「12月の予算審議のなかで市長は市民や議会への事前の説明が足りなかったことを認め、今後は丁寧な説明をして進めたいと約束したはずである。 解体業者決定前にその約束を果たすべきではないか」と訴えました。 また、事前に複数の議員の方から、建築の専門家団体の要望書が影響力を持つという助言をいただいていたので、日本建築家協会、横浜歴史資産調査会、日本図書館文化史研究会に調査と要望書提出を依頼し、意見陳述のなかでこれらの団体から近く要望書が出る予定であることも述べました。 意見陳述に対する議員からの質問やその後の審議の内容を見ると、意見陳述での主張はある程度各委員の耳に届いたのではないかと思われます。 「継続」というのは実質的に「棚上げ」を意味することが多いようですが、今回の場合は、専門家の意見を待って慎重に進めるべきというメッセージと受け取れました。 そこで間をおかず、3月4日に2回目の市長への要望書を提出しました。 その主旨は、市主催の説明会と見学会を実施すること、専門家団体から出される意見書を精査すること、 この二つの条件を満たすまでは解体業者を決める入札の手続きには入らないでほしいというものです。 この要望書の写しを市会議員、市役所の関係各課、メディア関係にも配布しました。 3月23日、待望の公益社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部、同 保存問題委員会、同 神奈川地域会連名による「旧鎌倉町立図書館について、解体計画の即時停止と保存利活用を求める要望書」が出されました。 また、3月11日に横浜歴史資産調査会による現地調査が行われ、3月下旬に保存を求める要望書が出される予定です。 なお、報告が前後しますが、2月13日に、TOTOMOを含む5団体の代表者・事務局長連名による市長あての「旧町立図書館の解体計画について即時停止を求める要望書」も提出されています。 5団体とは、いざかまくらトラスト、鎌倉の世界遺産と秘宝を訪ねる会、鎌倉の世界遺産をめざす市民の会、山手総合計画研究所、そしてTOTOMOです。 提出の際、市長との面談も要請しましたが、今のところ実現していません。 説明会や見学会もまだ市は実施していません。行政による早急かつ誠意ある対応を望みます。 |
会報170号(2015.3.25)掲載記事 <旧鎌倉図書館解体ストップのために>C 文集『旧鎌倉図書館と私』その一、その二、その三 発行! 「旧鎌倉図書館を利用した経験や思い出、保存への願いなどを記した文章を市民のみなさんから寄せていただこう! 今後の運動に役立てたいと同時に、万が一解体されたときにも、旧鎌倉図書館の記録、街の記憶として後世に残しておきたい!!」との想いから呼びかけが始まりました。 その後、短期間のうちに寄せられた文章は、どの方も旧図書館解体に危機感を持たれたようで 「旧鎌倉図書館」や「鎌倉のまち」に対するつよい想いが伝わるものでした。 内容は、図書館利用者として使用された思い出、利用した経験はないけれど通りから景観として眺めたときの印象、歴史的建造物としての意義を専門家の見地から述べられた意見、間島弟彦さんの功績の紹介などなど、それぞれにたいへん読み応えのあるものでした。 「ぜひこれを、2月1日のシンポジウムで、仮の体裁でも資料の一つとして配布できないだろうか」との提案で、『旧鎌倉図書館と私 その一』を急遽編集作成することになりました。 「その一」の一刷りは執筆者の方には申し訳なかったのですが、校正原稿をやり取りする時間のないままの発行となってしまいました。 シンポジウムは大盛況だったため、配布した「その一」はすぐに不足してしまい、その結果、10日の見学会には校正ミスを修正して「その一」の二刷りを増刷し配布することとなりました。 見学会に参加した方も含め、文集を読んでご自身から原稿を寄せてくださる方々もありました。 たいへん多くの方々のご協力で、イラストなども頂き、現在までに「その二」「その三」を発行することが出来ました。 いずれ、今回の報告と併せ旧鎌倉図書館に関する記録文書となるような一冊にまとめたいと話し合っております。 『旧鎌倉図書館と私』執筆者はその一19名、その二21名、その三18名でした。 <旧鎌倉図書館解体ストップのために>D 署名活動にご協力くださった皆様、 本当にありがとうございました! 署名総数 5,384筆(内ネット署名338筆) 旧鎌倉図書館の保存・活用を求め、1月21日より署名活動を開始しました。 手から手へ渡され、励ましのお手紙とともに帰って来る署名用紙にどれだけ励まされたことでしょう。 また、今回の活動を機に新しく入会された若い会員さんのお勧めにより、Change org .のサイトを利用したWEB署名も始めました。題して、 <旧鎌倉図書館の保存・活用をもとめ、 趣のある今小路の景観を守り解体から救おう!> さらに、3月7日(土)8日(日)、14日(土)15日(日)と2週にわたってパタゴニア鎌倉前で街頭署名を行いました。 雨風激しい寒い日もあり、せっかく設営してくださったテントが飛びそうになったり、パネルやチラシを追いかけたり… と、予想外のことも多くありましたが、4日間で1330名もの方にご署名いただきました。 ご協力くださったみなさま、場所の提供はじめサポートしてくださったパタゴニアのみなさま、本当にありがとうございました。 また、今回この活動のために素敵な絵を描いてくださった飯野和好さんが、署名活動に駆けつけてくださり、一同感謝感激でした。 そして、7日には生涯学習センターホールのホワイエでも同時進行で署名活動を実施しました。これは当日開催の「ハートフルコンサート」に合わせて行ったものでした。 コンサートの主催者は、明治44年の鎌倉町立図書館創立にあたって多大な貢献をされた篤志家、東郷慎十郎氏のお孫さんである東郷輝久さんです! 事情をお伝えしたところ、即決で署名活動を勧めていただき実現したものです。 また、東郷さんからは、「当日の物品売り上げの利益を鎌倉図書館に寄付したい」とのお申し出も頂いています。 今を生きる方だけでなく、明治時代から続く鎌倉図書館ゆかりの人々に見守られ、力づけられている今回の保全・活用運動です。 集まった署名は、近日中に市長及び市議会議長宛に提出する予定です。 ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。引き続き応援をよろしくお願い致します。 |
会報169号(2015.1.9)掲載記事 旧町立図書館の建物が解体の危機に ■とび込んできた驚きの情報 TOTOMO15周年記念誌の発行を無事にやり終えてほっとしたのも束の間、昨年(2014)11月下旬、とんでもない情報が入ってきました。 御成小学校に隣接する旧町立図書館の建物(昨年6月まで教育センターとして使われていました)を取り壊し、その跡に2階建てのプレハブ庁舎を建てる、そのために土地・建物を教育委員会所管から首長部局に移管し、12月議会に解体のための予算を含んだ補正予算を提出するというのです。 私たちがこのことを知ったのが11月21日(金)で、すぐさま市役所に申し入れ、翌週の25日(火)に担当の行革推進課に話を聞くことができました。 そこでの説明は、旧図書館の建物と901会議室(組合事務所が入っているプレハブ)を解体し、その跡地に2階建てのプレハブ庁舎を建て、1階に現在第4庁舎にある「おなり子どもの家」を移し、2階には狭隘化した本庁舎の執務室の一部を移動させる、建物の図面はあるが議会前なので見せられない、旧図書館の建物は木造で老朽化しており保存する考えはない、解体・建築工事の過程での遺跡発掘の可能性については文化財課に問い合せ中、というものでした。 旧図書館は老朽化して危険なのでプレハブに建替え、市庁舎の狭隘化と法改正で面積が不足する子どもの家の問題を一挙に解決しようという計画で、旧図書館については単に「老朽化して危険な木造の建物」としか考えていないことがわかりました。 ■旧町立図書館と間島弟彦氏 旧町立図書館は昭和11年に間島弟彦氏の寄付によって建てられた和洋折衷の近代建築で、登録有形文化財の指定が望まれる御成小学校旧講堂と共に歴史的価値の高い建物です。間島弟彦氏は、鎌倉国宝館の建設募金にも多額の寄付を行い、第一小学校、第二小学校、鎌倉高等女学校への資金援助、関東大震災で倒壊した英勝寺山門の再建保存にも尽力し鎌倉の文化・教育の発展に大きく貢献した人物です。 旧図書館の入り口付近には間島氏の功績を顕彰する記念碑がたてられています。 12月4日にはTOTOMOとして旧図書館の見学会を実施しましたが、瓦屋根に縦長の窓という和洋折衷の外観だけでなく、内部の意匠もムク板の床や窓の造り、温かみを感じさせる階段の手すりなど当時の近代建築の趣がいっぱいで、書庫にはホゾ組みの木製書架がそのまま残っていました。 もちろん耐震補強や傷んだ部分の補修は必要でしょうが、老朽化して危険というほどの印象は受けませんでした。 現に教育センターが移転した後もここは今年3月までは使用されることになっています。 ■ロビー活動と要望書の提出 行革推進課との話し合いの翌日(11/26)から 12月の初めにかけて、補正予算を審議する総務常任委員会や関連性の高い教育こどもみらい常任委員会に所属する議員のみなさんに面談をお願いし、関係資料をお見せしながら以下に述べる 4点を中心に説明をさせていただきました。 @何の前触れもなく、いきなり補正予算に含める形でことを進める手法に疑問を覚える、もっと広く市民や専門家に意見を聞くべき案件ではないか、A旧図書館が持つ歴史的文化的価値について間島氏の功績も含め評価し、その保存・活用の可能性を探るべきではないか、B今小路西遺跡の範囲内にあり、遺跡発掘の可能性についても視野に入れて慎重に進めるべきではないか、C子どもの家については御成だけでなく全市的な課題であり、御成についても場所の確保が旧図書館解体に直結する必然性はないのではないか。 私たちが面会したほとんどの議員はこの件に関して市から詳しい事前説明を受けておらず、常任委員会の中でも議員からの資料請求で審議が度々中断されるという状況でした。各議員によって意見は異なるものの、わたしたちの説明に共感する意見や参考になる助言を多くいただきました。 また、説明の主旨で述べた4点を中心に市長あてと市議会議長あてに要望書を作成し12月1日に提出しました。 ■議会での審議状況と市長からの回答書 12月12日に開かれた教育こどもみらい常任委員会では竹田議員の発議により旧図書館の土地・建物を普通財産に移管し取り壊すことになった件が議事日程に追加されました。 竹田議員の「旧図書館の建物を修理・保存するのではなく解体するという判断はどのようになされたのか。 また、判断が決まった段階で市民への説明が必要だったのではないか」という質問に対して、事務局の回答は「市庁舎のスペース確保のために全庁的な検討会議を持ち、その中で決まった。そこでは保存するという意見は出なかった。今後は大きな財産の変更がある場合は市民への説明を考慮したい」というものでした。 高橋議員からも「ランドマーク的性格を有した建物であり、取り壊すにしてもきちんとした説明がされるべきではないか」、三宅議員からも「歴史的建造物としての評価についてはどう考えているのか」という質問が出ました。これに対して事務局は「老朽化して危険なので安全性を優先して実務的に処理した」と答えるのみでした。 補正予算を審議する総務常任委員会では12月18日と22日にこの問題がとりあげられ、18日には中沢議員が「御成小の教室が足りない、不登校施設のためのスペースもないと言いながら、他方で御成小に隣接する教育財産を自ら放棄するというのは矛盾している」と追及し、22日も旧図書館の解体はいつどこで決まったのかという中沢議員の質問に対して「平成23年に原局(教育委員会)が決めた」(経営企画課長)、「庁内検討会議で決まった」(教育総務課長)と答弁が事務局の中で食い違うなど、耐震診断もせずご都合主義で解体を決めたことが明らかとなりました。 他の議員からも、議会や市民に説明せず乱暴なやり方だなどの意見が出ましたが、補正予算の中にセットされているため、この案件だけ否決することはできず、補正予算は採決となりました(千議員はこの案件ともう一つの議案に反対を表明し採決時に退席)。 続いて、12月26日に市長からの回答書を原田教育部次長兼教育総務課長から受け取りました。内容は要望への回答というより経過説明で、議会答弁の範囲を超えるものではありませんでした。 回答内容をめぐってやりとりをしましたが、何を話しても「庁内検討会議で決まったこと」という説明に行きつくという実り少ない話し合いとなりました。 ■シンポジウム開催と文集の発行 12月24日の本会議で補正予算は成立しましたが、この議案への討論を行った3人の議員(三宅、赤松、岡田各議員)は3人とも旧図書館解体について強い疑念と抗議の意思を表明されました。ロビー活動の成果です。また、全メディアにプレスリリースした結果、1月6日付の神奈川新聞の社会面にこの問題が大きく取り上げられました。 経過は以上に述べた通りですが、今後の取り組みとして次のような企画を考えています。一つは2月1日午前に予定している総会と同じ日の午後、同じ場所(NPO鎌倉)で緊急シンポジウム「旧図書館の保存・活用を求めて」を開催します。もう一つは文集の発行です。旧町立図書館を利用した経験や思い出、保存への願いなどを記した文章を集め、それを一冊にまとめ今後の運動に役立てようと考えています。 いったん決めたことは何があっても進めるという行政の壁は強固ですが、いろいろな手立てを尽くして運動の輪を広げ、厚い壁に風穴を開けていきましょう。 *旧図書館問題は、1月6日付け神奈川新聞でも報道されました。 (神奈川新聞は鎌倉市図書館で閲覧できます。) この記事はネット〈yahooニュース〉でもご覧になれます |