会報181号掲載記事 鎌倉市議会報告
議会報告① 図書館の将来像の確立を求める陳情書が採択されました!
昨年の9月議会で、手続きに問題があるとして差し戻された図書館協議会の答申の報告と、議案として一括扱いとなったTOTOMO提出の「鎌倉市が目指すべき将来像の確立についての陳情書」の審議が、昨年12月15日の教育こどもみらい常任委員会で行われました。
また、それに先立つ本会議では関連する一般質問が2名の議員からなされましたので、それを先に紹介します。
まず千一議員から、公立図書館は高齢者、障がい者、子どもなど弱い立場の者の情報源であり、コミュニケーションの場である、また市民生活に直結する場所でもある、しかし人件費削減を理由に正規職員を減らし非常勤嘱託員の割合を多くしようとするのは図書館行政を後退させるものであり、やめてほしい。
また再質問で図書館に指定管理者制度を導入するという話も聞くが、それもやめてほしいと述べました。
これに対して教育部長は、サービス低下にならないようにする、指定管理者制度の導入は現時点では考えていないと通り一遍の答弁をするのみでした。
竹田ゆかり議員からは、11月9日の図書館協議会で館長は答申について再度協議するに至った経緯を何も説明していない、委員長も7月の協議会で答申は確定しており誤字脱字の修正以上の変更はできないとして新委員の発言を牽制している、答申の内容にかかわる議論はせずに単に形式を整えるためにのみ開かれたとしか思えない、これまでの諮問に関する協議は館長が提示した落としどころを協議会委員に無理やり認めさせ、しかも一貫して時間がない、早く結論を出せというかたちで運営されてきた、その理由は何なのか、市が進めている行革のアクションプログラムと関係あるのか。
ここまで質問が及んだとき、議長から図書館協議会の答申は常任委員会での報告事項となっており重複しないようにという注意があり、他の議員からも同趣旨の動議が出されました。
竹田議員は答申の内容には触れていない、答申に至る経過や協議会の在り方について問題にしているとして質問を続行しようとしましたが、協議会委員長用に作成された落としどころへ誘導する進行表についての質問をきっかけに休憩がとられ、再開後に竹田議員は「時間がなくなったので他の質問に移る」(やむなく?)としました。
市民目線からすると不可解な議会運営と言わざるを得ません。
教育こどもみらい常任委員会では、館長が図書館協議会の答申の報告を行い、あわせて陳情に対する見解を述べ審議に入りました。
高橋浩司議員から付帯意見について異論が出たようだが、賛否はとったのか、また答申の採決は行われたのかという質問がありました。
これに対して館長は両方とも挙手による採決はせずに委員長が確認を求め全員が了承したと答弁しました。
しかし答申について委員長は確定済みのものとして改めて賛否の確認はとっておらず館長の答弁は正確ではありません。
正当にも高橋議員は挙手による賛否を取るべきだったと指摘しました。
竹田議員からは答申をどうとらえているのかという質問に館長は方向性が出たものと考えているとし、答申は地域館に最低1名は正規職員が必要としているが試行の結果、2名になる可能性もあるのかという質問には可能性としてはあると答えました。
来年度の玉縄図書館での施行期間については1年もかける考えはない、今のところ1か月で考えているとしました。
以上の質疑ののちこの報告を了承するか否かについて諮られ、竹田議員、千議員は「聞き置く」とし、他の3人の議員は「了承」としました。
陳情については、竹田議員、千議員は採択とし、高橋議員も再来年度から始まる新たなサービス計画を後押しする意味で採択としたいと表明し、前川綾子議員も現状の図書館は遅れていないとは言えない状況にあり、将来像を考えるべき時期に来ていると思うので採択すべきとしました。
久坂くにえ議員は最初の発言では第2次サービス計画に基本目標がすでに記されているという理由で継続と表明しましたが、他の議員の意思表明を受けて採択に変更し、全員一致で採択となりました。
そして12月27日の本会議で賛成多数(1名の反対)で採択が確定しました。
この結果を受けて、「鎌倉市図書館の目指すべき将来像の確立」への取り組みを図書館に要請していきたいと思います。
館長も教育こども未来常任委員会で来年度には次期サービス計画の内容の検討を行うと述べています。
まさにそのためにこそ将来像(ヴィジョン)の確立が求められるはずです。
議会報告②はこちら
会報174号掲載記事
地域館運営の非常勤化について教育長から回答
8月20日に教育長に手渡した標記の案件についての質問状にたいして、9月28日付の回答書を9月30日にいただきました。
回答の内容は、現在図書館協議会に諮問中なので個別の事項についての回答は控えたいというものでした。
(添付資料をご参照ください)
回答書をいただいた際、教育委員会総務の原田部長、斉藤次長および図書館長から示された説明は以下のようなものでした。
海老名市など県内で新たに指定管理者制度を導入する動きがあるが、鎌倉市は従来どおり職員・非常勤嘱託で運営し、民間委託などの考えはない。
ただ、市はアクションプランというコスト削減を目的とした行革を進めており、その一環として中央館と地域館の役割分担について見直し業務のスリム化を図りたい。
だからといって嘱託員に職員並みの責任や業務内容を負わせるつもりはないし、サービス低下にならないよう努力する。
これにたいしてTOTOMOからは、一律に全職場に人員や予算の削減を進めるやり方はおかしい、地域館の役割はもっと重視すべき、見直すならむしろ実態に合わせて地域館の人員体制を強化すべきではないか、こういう運営形態の大きな変更については図書館協議会に諮るだけでなく広く市民に意見を求めるべき、などの意見を述べました。
嘱託員に過重な負担は求めない、サービス低下にならないようにするという説明も具体的な運営形態が明らかでない段階では説得力を持ちえないと思います。
図書館協議会の答申が諮問内容と方向性が異なるときはどう対応するのかという質問にたいしては、少なくとも答申内容とかけ離れた形で進めることはないという回答でした。
いずれにしてもTOTOMOとしてこの問題についての見解を早急にまとめ、今後は図書館協議会委員を始め市民や市議への働きかけに取り組んでいきたいと考えます。