地域館問題 会報掲載報記事


会報181号掲載記事  鎌倉市議会報告

議会報告① 図書館の将来像の確立を求める陳情書が採択されました!


 昨年の9月議会で、手続きに問題があるとして差し戻された図書館協議会の答申の報告と、議案として一括扱いとなったTOTOMO提出の
「鎌倉市が目指すべき将来像の確立についての陳情書」の審議が、昨年12月15日の教育こどもみらい常任委員会で行われました。
また、それに先立つ本会議では関連する一般質問が2名の議員からなされましたので、それを先に紹介します。

 まず千一議員から、公立図書館は高齢者、障がい者、子どもなど弱い立場の者の情報源であり、コミュニケーションの場である、また市民生活に直結する場所でもある、しかし人件費削減を理由に正規職員を減らし非常勤嘱託員の割合を多くしようとするのは図書館行政を後退させるものであり、やめてほしい。
また再質問で図書館に指定管理者制度を導入するという話も聞くが、それもやめてほしいと述べました。
これに対して教育部長は、サービス低下にならないようにする、指定管理者制度の導入は現時点では考えていないと通り一遍の答弁をするのみでした。

 竹田ゆかり議員からは、11月9日の図書館協議会で館長は答申について再度協議するに至った経緯を何も説明していない、委員長も7月の協議会で答申は確定しており誤字脱字の修正以上の変更はできないとして新委員の発言を牽制している、答申の内容にかかわる議論はせずに単に形式を整えるためにのみ開かれたとしか思えない、これまでの諮問に関する協議は館長が提示した落としどころを協議会委員に無理やり認めさせ、しかも一貫して時間がない、早く結論を出せというかたちで運営されてきた、その理由は何なのか、市が進めている行革のアクションプログラムと関係あるのか。

 ここまで質問が及んだとき、議長から図書館協議会の答申は常任委員会での報告事項となっており重複しないようにという注意があり、他の議員からも同趣旨の動議が出されました。
竹田議員は答申の内容には触れていない、答申に至る経過や協議会の在り方について問題にしているとして質問を続行しようとしましたが、協議会委員長用に作成された落としどころへ誘導する進行表についての質問をきっかけに休憩がとられ、再開後に竹田議員は「時間がなくなったので他の質問に移る」(やむなく?)としました。
市民目線からすると不可解な議会運営と言わざるを得ません。

 教育こどもみらい常任委員会では、館長が図書館協議会の答申の報告を行い、あわせて陳情に対する見解を述べ審議に入りました。
高橋浩司議員から付帯意見について異論が出たようだが、賛否はとったのか、また答申の採決は行われたのかという質問がありました。
 これに対して館長は両方とも挙手による採決はせずに委員長が確認を求め全員が了承したと答弁しました。
しかし答申について委員長は確定済みのものとして改めて賛否の確認はとっておらず館長の答弁は正確ではありません。
正当にも高橋議員は挙手による賛否を取るべきだったと指摘しました。

 竹田議員からは答申をどうとらえているのかという質問に館長は方向性が出たものと考えているとし、答申は地域館に最低1名は正規職員が必要としているが試行の結果、2名になる可能性もあるのかという質問には可能性としてはあると答えました。
来年度の玉縄図書館での施行期間については1年もかける考えはない、今のところ1か月で考えているとしました。

 以上の質疑ののちこの報告を了承するか否かについて諮られ、竹田議員、千議員は「聞き置く」とし、他の3人の議員は「了承」としました。
陳情については、竹田議員、千議員は採択とし、高橋議員も再来年度から始まる新たなサービス計画を後押しする意味で採択としたいと表明し、前川綾子議員も現状の図書館は遅れていないとは言えない状況にあり、将来像を考えるべき時期に来ていると思うので採択すべきとしました。
久坂くにえ議員は最初の発言では第2次サービス計画に基本目標がすでに記されているという理由で継続と表明しましたが、他の議員の意思表明を受けて採択に変更し、全員一致で採択となりました。
そして12月27日の本会議で賛成多数(1名の反対)で採択が確定しました。

 この結果を受けて、「鎌倉市図書館の目指すべき将来像の確立」への取り組みを図書館に要請していきたいと思います。
館長も教育こども未来常任委員会で来年度には次期サービス計画の内容の検討を行うと述べています。
まさにそのためにこそ将来像(ヴィジョン)の確立が求められるはずです。

議会報告②はこちら

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会報180号掲載記事

地域館問題は答申が「確定」しても、まだまだ終わらない


◎情報公開請求でわかったこと~始まりは館長提出の行革プランにあり~

前号の会報でお知らせしたように、わたしたちは地域館問題に関する行政文書の情報公開請求を行っています。 地域図書館の非常勤嘱託化に関する中央図書館の起案文を見ると様々な疑問点、問題点が浮かび上がってきます。そのいくつかをここで紹介します。 今回の諮問が出される一か月前の昨年6月の館長会議の記録に「行革プランに図書館は掲載されなかったが、行革推進課に提出したプラン(H30年度地域館1館を非常勤中心とする、職員ゼロにはしない、H31年度にもう1館実施)を示しつつ、運営方法の複数の選択肢からどれを選ぶかを問う諮問を図書館協議会にかける」という館長の発言が載っています。 しかし館長は昨年10月の2回目の図書館協議会で「いま鎌倉市は第4次行革プランを作成中で、図書館もその枠組みの中にある」と発言し、人員削減を強いられているような言い方をして誘導し、自主提出した館長のプランどおりの答申内容になったことがわかります。 今年9月の館長会議の記録には、平成29年度から始まる市の第3期基本計画の後期実施計画に「地域館の非常勤嘱託中心とした体制」にするという案を「図書館協議会に諮問中だったため、資料サービス担当補佐以下には相談や決済を取ることなく、提出済み」とあります。 「諮問中」ということは答申がまだ出ていない段階で案を提出したということです。 同じ記録に「職員の意見を聞かずにすすめることは大いに疑問」とも記されています。 また、非常勤化の試行を「平成29年度に玉縄図書館で」するが、「1ケ月試行のような短期間のものも含め検討」とあります。 諮問が出された時のスケジュール案では試行期間は1年としていました。TOTOMOが面談したときの教育部長も試行は1年くらいという答えでした。 1ヶ月試行で何がわかるのでしょうか。 昨年10月の館長による職員向け説明会の記録では、ここで出た職員の意見を協議会委員に文書で報告してほしいという要望に館長はそうしたいと答えています。 協議会委員からも職員の意見を詳しく聞きたい、この問題を考える材料がもっとほしいという意見が出ていました。しかしそのような文書は協議会に出されませんでした。 今年2月の館長会議報告には「市長サイドから図書館委託化、指定管理化の話があり、これが難しいのであれば…これに代わる案を検討するよう教育委員会(部長)より指示があった」とあります。 これを実行するためには何でもする、表と裏を使い分ける、約束は守らない、必要な手続きは無視するというのがこの間の館長の一貫した行動パターンだということがわかります。

◎図書館協議会は〝まるで何事もなかったかのように〟進められました

今年度2回目の図書館協議会が11月9日の18時に開かれました。傍聴者は13名でした。 最初の議題は館長からの議会報告でしたが、肝心なことはすべて省略するという信じがたい内容のものでした。 前号でお知らせしたように、1名欠員の状態で答申を議決した際の手続き上の不備について教育長が謝罪したこと、付帯意見は協議されておらず、採決の仕方にも問題があると指摘され答申の報告は差し戻しとなったこと、TOTOMOから陳情が出されたこと、陳情の審議も報告の差し止めに巻き込まれて12月議会に延期されたこと、これらすべてが省かれていました。 この点を指摘すると館長は「載せなかったのは私の落ち度」と認め謝罪しましたが、本来なら会議の冒頭で館長あるいは委員長がこの間の経緯や今回の協議会の趣旨などを説明すべきだったはずです。 しかしそのようなことは何もなく、会議の冒頭は杉本議員の後任の蛭田委員を紹介するのみでした。まるで何事もなかったかのようです。 答申の議決の仕方に議会で疑義が出たにもかかわらず、委員長は答申は7月に決まったこととして、新任の蛭田委員が意見を言う前に、答申の内容を変更するようなことを言われると困ると予防線を張り、もし内容にかかわる意見があるなら付帯意見を出してくれと、前回の協議会で私に言ったことを性懲りもなく繰り返す始末でした。 他の二人の委員も基本的に同じ認識でした。 蛭田委員は、答申は協議会での議論をよくまとめているとし、自分の図書館に対する意見を述べたうえで、自分の意見は議事録に残ればよいとしました。様々な意見が出て合意できた部分が答申になる、それ以外の意見は議事録に残す、だから議事録は大事、逆に合意によってまとめられた答申は権限を持つ、答申は単なる提言ではないと述べられました。 委員長の「答申というのは、この通りにやりなさいというものではない」という無責任かつ自らを軽んじるような姿勢とは大違いです。 でも残念ながら答申は確認されてしまいました。 付帯意見については、望ましい地域館像を確立すべきという点について杉山委員から答申でサービス計画について触れているので不要ではないかという意見が出ました。しかしここでいう地域館像というのはサービス計画を立てる際の土台となるもので計画とは次元の異なるものです。蛭田委員からは外部の評価は大事で第三者委員会は設置すべきと指摘されました。 最後に私から答申に関連して今後のことでまだ聞きたいことがあると発言し、来年度の協働事業は玉縄図書館でも行われるが、非常勤嘱託化の試行で職員が一人体制になっても計画通り実施できるのかと言うと、館長はその件について「正式に何も聞いていない」とやや感情的になって答えるだけでした。 そのほかにも事前に追及すべきことを用意して臨んだのですが、委員長の恣意的な議事運営と私の力不足もあって、重要なことで言えずに終わったものもあり残念な結果となりました。

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会報179号掲載記事

図書館協議会の答申は「議決」されたものの 市議会で認められませんでした


◎図書館協議会の答申、手続き上の瑕疵が明らかに

 9月9日の鎌倉市議会本会議の一般質問で竹田ゆかり議員が7月28日の図書館協議会で「議決」された答申について取り上げ、 5人の協議会委員のうち社会教育分野から選出された委員が欠員(病気で亡くなられた)のまま答申を決定したのは図書館協議会を軽視するものではないか、 また、答申に付帯意見が付けられているようだが、その内容は協議会での議論と合意を経て出されたものではないし、答申の内容についても議論が尽くされたとは傍聴していて思えなかった、いま一度答申に関する協議をやり直すべきではないかと追及しました。
 これに対して市は、図書館長が「協議会委員が4人でも成立する、社会教育委員会議からの委員の補充は無理して急ぐ必要はない」と発言したことを確認したうえで、これは不適切な発言であったと認め陳謝しました。 ただ、協議のやり直しについては認めませんでした。

 ところが、9月15日の教育こどもみらい常任委員会での報告事項として図書館協議会の答申が審議されようとしたとき、 高橋浩司議員からこの答申は社会教育団体選出の委員が入ったうえで決めるべきだったのではないか、付帯意見も協議会の場で審議したうえで全員の了承のもとに出すべきではないのかという意見が出されました。
 後述するように、この案件に関連してTOTOMOは議会に陳情書を提出しており、この日の委員会で意見陳述を行っているのですが、審議時間が残り少なくなっていたことから報告事項と陳情の審議は残りの他の議事とともに9月30日に審議を延長することになりました。 そして30日の委員会では、冒頭に市のほうから社会教育委員会議から委員の推薦を受け、それを教育委員会で任命し、図書館協議会を開き、答申に関する新委員の意見を確認し、付帯意見の協議をしたうえで、12月議会で報告をしたいという発言があり了承されました。
TOTOMOからの陳情もその時に一括して審議するということで継続の扱いとなりました。
 結局、内容以前に形式が整っていないという理由で報告することが認められなかったということになります。 答申に至る手続き上の瑕疵について、その一端が明らかになったものと思います。

◎図書館協議会における答申の審議

 少し時間をさかのぼって、7月28日に行われた図書館協議会における答申の審議について、改めて振り返ってみたいと思います。
 昨年度4回にわたって審議された地域館を非常勤嘱託員中心の運営にするという諮問について、最終的に大船と深沢の図書館は現行の3名の職員体制を維持し 、玉縄と腰越の図書館は正規職員を1名に減らすことを主な内容とする答申案にまとめられ、図書館長から提案されました。
(添付資料①参照)
 昨年度の3回目の審議で館長が運営の具体案を例示し、4回目の審議でも答申全体の骨子案を提案しています。 さらに今年度に入って各委員との個別の意見調整、最終答申案のまとめ、今回の協議会での提案に至るまで、すべて館長が行っています。 図書館協議会の主体性はどうなっているのかという疑念を覚えます。

 また、今年度に入って市民公募の委員が転居により退任し(その後任として私が委員となった)、先にも触れたように、 もう1名の委員が亡くなられ後任が補充されないまま協議会が開かれるという不測の事態のなかでの審議となりました。 亡くなられた委員と私は館長との個別の意見調整には加わってはおらず、私が最終答申案を手にしたのは協議会の数日前という状態でした。
 最終答申案では技術職員(司書)の新採用、資料費の予算増、蔵書スペースの拡充など、それまでの協議会であまり議論されていなかったことが新たに盛り込まれており、 基本内容の部分でも4館中現行の3名体制を維持する館を1館から2館に変更するなど、個別の意見調整の中で書き換えられている部分が多いこと、協議会の委員が1名欠員の状態にあること、 自分は今回初めて答申の議論に参加するものであり、答申の主要な部分に疑問を持っていることなどを理由に、結論を急がず時間をかけて審議を尽くすことを求めました。

◎異例ずくめの「議決」、そして「意見書」と「付帯意見」

 しかしながら、他の3人の委員はこれ以上の議論は無用であり、反対意見は付帯意見として出せばよいという考えでした。 一人の委員などは「他に重要な会議があるのに出席している、今日決めないのならここで退席する」という驚くべき発言をして本日中の答申の決定を主張しました。 付帯意見は答申とセットになるものであるから、次回の協議会で併せて議論して決めるべきではないかと述べたのですが、受け入れられず採決となりました。
 しかし、その採決の際に委員長自身が真っ先に手を挙げるなど、手続き的にありえないかたちの進行となりました。 本来なら他の委員が挙手して同数だった時にのみ委員長が手を挙げるものではないでしょうか。 こうして異例ずくめのかたちで答申は「議決」されました。

 協議会の議論を受けて、答申の内容についてはもちろんのこと、答申に至る経緯にみられる問題点や図書館協議会のあり方についても触れた付帯意見を作成し、館長あてに8月22日に提出しました。
これに対して館長からは付帯意見の範囲を超えた記述になっているので書き直してほしいという要請がありました。 確かに本来の付帯意見の形式を逸脱しているかもしれないが、反対意見は付帯意見でという議論の流れを受けて書いたものであり了解ずみのはずと返答したのですが、 最終的には、提出した文書は「意見書」として協議会の議事録とともに公式文書として残し、それとは別に答申を実施するにあたり留意すべき事項を述べた「付帯意見」を提出することとなりました。
 そこで、地域館に対する中央館の支援体制の確立、危機管理に対応できる体制の構築、地域住民への丁寧な説明、施行から本実施に移行する際の第三者委員会の設置、 そして何よりも今後の地域館の望ましいあり方について協議を進めることなどを要請する9項目の付帯意見を9月5日に提出しました。(添付資料②参照)
 以上のことは私と図書館長の間だけのやり取りになっているので、次回の協議会でこれらの文書についての協議を議題とすることも同時に要請しました。

  

◎ロビー活動と陳情書の提出

 8月31日から9月2日にかけて、地域館問題についてのロビー活動を行いました。 面会した議員は、吉岡、竹田、納所、長嶋、河村、岡田、渡辺(昌)、三宅、保坂、高橋、前川の各氏です。  各議員にこちらから訴えたポイントは、館長主導の答申案作成、不十分な議論、欠員状態での採択など答申に至る過程で多くの問題点があり、答申内容についても不安な部分が多く残されている、 図書館協議会のあり方についても再考すべきである、そしてそもそもこれから目指すべき図書館のビジョンが確立されていないことが今回の問題の背景にあるのではないか、などです。
 これに対して各議員からは今後の活動を考えるうえで多くのヒントをいただくことができました。 その一つとして、9月7日から始まる市議会に「鎌倉市図書館が目指すべき将来像の確立についての陳情」をすることにしました。 日にちが迫るなか、期限ぎりぎりの9月6日に陳情書を提出し、付託された9月15日の教育こどもみらい常任委員会で意見陳述を行いました。(添付資料③④参照)
 冒頭で述べたように陳情に関する審議は12月議会に継続となりましたが、これは審議されたうえでの「継続」ということではなく、 門前払いとなった図書館協議会の答申の報告とともに12月議会ではじめて審議されるという決定と思われます。 これらの結果はロビー活動の成果であり、対応してくださった議員の方々には感謝する次第です。 

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会報178号掲載記事

地域館問題は緊急事態を迎えています


◎図書館協議会は機能しているか

 この1年間の図書館協議会を傍聴していて、地域館の問題に関して委員同士の活発な議論がなかった印象を受けました。 その理由はいくつか考えられますが、最大の原因は諮問の仕方そのものにあったのではないかと思います。
 図書館協議会で地域館の運営について検討するときは、地域館の本来の在り方や役割、それに対して現状はどうなっているか、そしてそれを踏まえて今後どうすべきかの施策を導き出すというような大きな枠組みで諮問されるべきでした。 地域館が各行政区にどのような経過をたどって配置され、それぞれの地域館がどのような特徴を持ち、どんなサービスをしているかなどの判断材料があって初めて図書館協議会ならではの議論が成立するのではないでしょうか。

 ところが、今回の諮問は、財政事情の厳しさを導入部にして、いきなり職員の削減を伴う地域館運営の是非を問うというかたちでなされました。 確かに財政事情も議論のファクターのひとつになるでしょうが、いくつかのひとつにすぎません。 図書館のあるべき姿を念頭に置きながら地域館の運営の在り方を図書館の専門家、教育現場にかかわる人、利用者・市民の立場から考えるというのが図書館協議会の役割であるはずです。 中央図書館を含め現在の5館体制でも地域によってはサービスの空白地帯がいまでも存在しています。 それをどのような方法で埋めていくかなどの前向きな議論もそこから可能になります。
 財政事情を最優先にして落としどころを探るような議論の在り方は図書館協議会のなすべきことではありません。 最初にボタンの掛け違いがあったと言わざるを得ません。

◎市の行革の進め方に問題あり

 市は次の人員適正化計画で職員200名の削減を図ろうとしています。 6月議会の本会議での一般質問で竹田ゆかり議員が図書館の運営体制について質問した際、この200名の根拠を質したところ、他の同規模自治体の平均値であるという答弁でした。 土地の事情、市民ニーズ、財政力の違いを無視して人口数だけで決めるのはいかがなものかという再質問に市側からの明確な答えはありませんでした。  質問の最後に竹田議員は市長、教育長に鎌倉の図書館は何を大切にすべきかと問いかけましたが、これに対しても内容ある回答は得られませんでした。 この本会議で主に答弁を担った教育部長と面談する機会をいただきましたが(7月6日、教育長も同席)、1800人台いた市の職員を1400人台まで減らす努力をこれまでしてきた、これからもそういう厳しい環境の中で持続可能な図書館を目指したいとおっしゃいました。 その持続可能な図書館とはどういうものなのか図書館協議会への諮問には全く触れられていませんねと申し上げたら、確かにそこが弱いところだと認められました。 議会答弁からも感じられることですが、こうした理念なき行革に未来はあるのでしょうか。

 図書館職員が作成した資料によれば31名いた職員はこれまでの人員適正化計画のもとに21人にまで減らされています。 これから200名削減して1200名台にしたらピーク時の2/3になりますが、図書館はもう2/3になっているのだから、次の人員削減計画のノルマをすでに果たしているのです。これ以上減らしてどうするのという話です。
 行革課と面談したときも、現場の事情を無視して削減案を作るわけではない、ヒヤリングをして現場の意見を踏まえて数字を出すと言っていました。 現場の長が現場を守ろうと考えるならば館長は図書館協議会に冒頭に述べたような本来あるべき諮問を行い、地域館はこういう役割があり、これだけの実績を上げている、しかしまだ足りない部分もあり、むしろ拡充すべきということを明確にしたうえで、簡単に人は減らせないということを現場の声として上にあげることができたはずです。

◎今後の取り組みについて

 地域館問題でロビー活動をしたとき、ある議員から目指すべき図書館像が示されていないこの諮問案を良いとも悪いともコメントのしようがないと指摘されました。 目指すべき図書館の将来像とは何か、持続可能な図書館あるいは鎌倉ならではの図書館とは何かということがいま問われています。 TOTOMOとしても鎌倉のあるべき図書館像をわかりやすくアピール度の高い表現で提示できるよう議論を進めていきたいと考えています。
 また、いま問題になっている地域館をクローズアップさせ、その重要性に市民の注目が集まるような活動にも取り組んでいます。 具体的には、行政との協働事業というかたちで地域館を盛り上げるような企画を実施できるよう、9月に行われる協働事業選考委員会に向けて準備を進めています。

 ただ、次の図書館協議会で諮問通りの答申が決まると、来年度から試行に入る可能性が高く、事態は切迫しています。 市民、議会、行政への働きかけを強めるために今できることはすべてやり切ろうと考えています。 


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会報177号掲載記事

嘱託中心の運営は地域館の弱体化を招き図書館の発展を阻害する


 図書館協議会傍聴記で述べたように、地域館の運営を嘱託中心の体制に移行するという館長からの諮問案は基本的に了承されました。財政事情を最優先にして落としどころを探るような議論の在り方は図書館協議会のなすべきことではありません。最初にボタンの掛け違いがあったと言わざるを得ません。 一部の委員から諮問案への疑問や不安は出されましたが、その点についての委員間の相互討論は成立せず、 議論が尽くされないまま諮問案が容認されるという残念な結果となりました。

 財政事情の厳しさを強調する館長は「このまま放置すると夕張のようになる」とまで発言しましたが、 この何の根拠もない脅しに効果があったということなのでしょうか。
 TOTOMOとして行革と地域館問題の関連性を確認するために行革推進課と話し合いを持ちましたが、地域館の人員体制についてはまだ何も決まっていない、 運営変更でどれだけの経費節減になるか、費用対効果に関してどう予測しているか今の段階では答えられないということでした。 地域館の弱体化にはならないようにするとも言っていましたが、言葉だけという印象はぬぐえませんでした。

 ここからは推測になりますが、どんな形であれ、当面の経費削減効果は薄くとも、直営から半歩でも脱却する突破口を確保したいというのが行政の狙いなのではないでしょうか。 長期的には各地域館を拠点校に複合化し、規模も200㎡程度に大幅縮小するという公共施設再編計画が念頭に置かれているように思います。 諮問案を蹴ると指定管理者制度になると言う協議会委員もいましたが、諮問案の実施こそそうした施設の統廃合、指定管理者制度やPFI導入への第一歩となる恐れがあります。
 国は補助金まで出して自治体に公共施設の再点検(統廃合)を求めていますが、他方で「社会資本重点整備計画」の一環として、 住宅や公共施設などを町の中心部に集約する「コンパクトシティの形成」を図っています。 そのなかで図書館は「居住者の共同の福祉や利便性の向上を図るために必要な施設」としながらも「集客力がありまちの賑わいを生み出す」ものとして捉えています。 まるでツタヤ図書館を奨励しているかのようですが、それはともかく、この構想が実現すると、町の中心部にいないと図書館サービスの圏外に置かれてしまうことになります。
 図書館が図書館であるための最低条件は「身近にある」ことです。 図書館界では行動半径が小さい子供や高齢者を含め誰でも平等に図書館を利用できるよう「全域サービス網」の形成が目指されてきました。 その原則がいま揺らごうとしています。鎌倉における地域館の弱体化の動きはそれと軌を一にするものです。


 また、近年の図書館界では職員の非正規化が急速に進んでいます。 2015年現在で非正規職員の割合は72%と言われています。この数値は正規職員の労働時間で員数を算出しているので実人数はもっと多く、しかも低賃金で働いているのです。 諮問案に反対する鎌倉の司書たちは自分の身を守るために声を上げているのではないかという受け止め方が協議会委員の中にあるように感じられますが、このことで司書が職を失うとは考えられません。 むしろ進行するのはブラックな非正規職員を増やすだけではないでしょうか。 少しだけ報酬を上げて職員並みに働けというのですから。
現状の図書館に満足することはできませんが、であればこそ今後の発展の阻害になるような運営体制の変更には反対しなければなりません。      


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会報176号掲載記事

行革推進課との懇談報告


1月27日の午後2時から1時間ほど、行革推進課の能條課長、鷲尾係長と懇談しました。 図書館協議会に現在諮問中の「地域図書館の職員配置をとりやめ、非常勤嘱託で管理運営することについて」 その背景となっている市の財政事情や行政改革の考え方について確認したいと申し入れたものです。

当会からは、「財政状況が厳しい」とよく言われるが、決まり文句の域を出ず納得のいく説明がない。 図書館では、度重なる職員数適正化計画によって年々職員削減が進んでいるが、削減によるサービス低下がないよう職員が頑張っていることを承知している。 友の会として十数年図書館運営を見守っているが、現在の図書館設置状況ではぎりぎりの定数と思う。
鎌倉市図書館の場合、地域図書館利用の比重がきわめて大きく、地域のサービス拠点としても重要な役割を果たしている。 これ以上、職員を減らすとサービスの弱体化が免れない上、鎌倉地域と他の4行政地域の地域間格差が広がる不安があると訴えました。

これに対して能條課長は、現在、新たな行革プランを作成中である、業務や行政課題の見直しのなかに図書館も入っているが、 決して地域図書館が弱体化していいとは考えていない、プランの内容は固まっていないので中味は話せない、長期的には公共施設再編のこともあるので厳しい状況にあることを理解してほしい、というようなお話でした。
行政改革は納税者である私たちも大事なことと承知しており、だからこそ地域に根付く地域図書館をもっと公共施設として様々に有効活用していくべきとお話しました。

これからも関連各課と意見交換しながら、現在稼動している全市的な図書館システムを活用してのより実際的な行政改革や、理念ある市政の在り方への提言活動を行っていきたいと思います。 TOTOMOからは5名が参加しました。

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会報174号掲載記事

地域館運営の非常勤化について教育長から回答


8月20日に教育長に手渡した標記の案件についての質問状にたいして、9月28日付の回答書を9月30日にいただきました。
回答の内容は、現在図書館協議会に諮問中なので個別の事項についての回答は控えたいというものでした。
(添付資料をご参照ください)
回答書をいただいた際、教育委員会総務の原田部長、斉藤次長および図書館長から示された説明は以下のようなものでした。

海老名市など県内で新たに指定管理者制度を導入する動きがあるが、鎌倉市は従来どおり職員・非常勤嘱託で運営し、民間委託などの考えはない。 ただ、市はアクションプランというコスト削減を目的とした行革を進めており、その一環として中央館と地域館の役割分担について見直し業務のスリム化を図りたい。 だからといって嘱託員に職員並みの責任や業務内容を負わせるつもりはないし、サービス低下にならないよう努力する。

これにたいしてTOTOMOからは、一律に全職場に人員や予算の削減を進めるやり方はおかしい、地域館の役割はもっと重視すべき、見直すならむしろ実態に合わせて地域館の人員体制を強化すべきではないか、こういう運営形態の大きな変更については図書館協議会に諮るだけでなく広く市民に意見を求めるべき、などの意見を述べました。
嘱託員に過重な負担は求めない、サービス低下にならないようにするという説明も具体的な運営形態が明らかでない段階では説得力を持ちえないと思います。 図書館協議会の答申が諮問内容と方向性が異なるときはどう対応するのかという質問にたいしては、少なくとも答申内容とかけ離れた形で進めることはないという回答でした。

いずれにしてもTOTOMOとしてこの問題についての見解を早急にまとめ、今後は図書館協議会委員を始め市民や市議への働きかけに取り組んでいきたいと考えます。  

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